イギリス生活情報週刊誌"ニュースダイジェスト"に記事が載りました。
今週号の イギリス生活情報週刊誌"ニュースダイジェスト"のMyTop3というコーナーに記事が載りました。http://www.news-digest.co.uk/news/component/option,com_wrapper/Itemid,25/ 11 December 2008「演奏活動にまつわるハプニングベスト3」というテーマで考えてみましたが、いろいろ思い出してみると、結構あるんですね。その時は、えらくパニック状態ですが、今考えてみると結構面白おかしい事件だったなと思ってしまえるんですね。不思議なものです・・・。ということで、このトップ3、回顧録のつもりでもうちょっと詳しく書いてみたいと思います。マンチェスターにて、駆け込みオーディションイギリス屈指の大ホール、ブリッジウォーターホールでのリサイタルシリーズのオーディションにて。イギリスのことだから、と思って時間の余裕をもってロンドンを出発したにも関わらず、「ドライバーがまだ到着していない」「線路へのいたずら」が原因で、電車が大幅に遅れてしまいました。およそ2時間遅れでマンチェスターに到着。乗客に励まされながら電車を飛び出し、全力疾走でホールに到着。息切れ切れなのにもかかわらず、あと20分で会場が閉まるからウォーミングアップはなしで!といわれ、走って行きついた先が1900人収容可能な大ホールのステージ。訳が分からないまま、息も切れ切れでプロコフィエフのソナタ7番、武満徹の「雨の樹」を演奏しました。どういう演奏をしたのかは全く覚えていません。 数日後、通知を受け取り、その内容は「おめでとうございます。次のリサイタルシリーズへの出場が決まりました。」人生は何が起こるか分からないですね。でもできれば全力疾走後のオーディションは二度と経験したくないものです。なぜかわかりませんが、私には”交通運”というものがないようです。なぜその日に、その時間に、電車が遅れる、またはキャンセルされてしまうのか、ということが、これ以外にも多く経験しています。現代曲アンサンブルの悲劇普段はアンサンブルで弾く時の方がソロの時よりもリラックスして楽しんで演奏できるのですが、現代曲のアンサンブルとなると状況は変わってしまいます。現代曲の中でもリズムが複雑な曲は、他のプレイヤーと会わせるのに一苦労。十分にリハーサルをして望んだある本番のこと、全神経を集中させて挑んだ本番だったのですが、誰かが一か所だけ拍を数え間違えたのをきっかけに、全員のパートがばらばらに。一体皆がどこを弾いているのか分からなくなり全員が即興状態に陥ってしまいました。演奏中に止まることはタブーとされている以上、たとえ分からなくなっても弾き続けなくてはなりません。止まりたくても止まれない、そんなパニックの中でどこかで耳慣れたメロディーが登場。それがヒントになりやっと合わせることに成功しました。あのなんとも言えない、全身の血が凍りつくような瞬間は、なかなか忘れられない悲劇です。沈んだままの鍵盤サセックス地方の、とある会場でのできごと。バイオリン、チェロ、ピアノのトリオのコンサートでしたが、会場には白いピアノが。白いピアノを弾くのは初めてだったので、わくわくしながら演奏に入ったのですが、真ん中の音域の ミ の鍵盤が、一度押したら上がってこないというハプニング。これはどうしようと思いましたがどうしようもないんですね。しょうがなく、下がった鍵盤を親指で上げながらの演奏。鍵盤を下に押すことはあっても、上げながらの演奏は初めての経験でした。会場のお客様は私の鍵盤あげテクニックに大いに感激してくれたので、良かったのか悪かったのか・・・。