今年3月に行われた Park Lane Group Young Artists series のオーディションでバイオリン、ピアノデュオでチャレンジした結果、2008年1月11日、Purcell Room, South Bank にて同シリーズコンサートで弾かせていただくことになりました。

このコンサートシリーズ、プログラムは全て「現代音楽」で構成されます。
現代音楽には、多方面にわたり、いろいろな種類があるのですが
ベートーベンやショパンの響きとは全く違った異質な音楽の世界を楽しむことができます。

現代音楽は何だかとっつきにくい、という固定観念が未だにあるようですが、分かってくると非常に面白いんです。私も実は現代曲は得意なほうではなかったのですが、イギリスに勉強しに来てから現代音楽に触れる機会が増え、いくつかの曲を聴いてみるうちに、説得力のある曲は、聴いていてどんどん惹きこまれていく自分に気がつきました。

1月のコンサートで弾く曲のプログラムもやっと決まり、現在さて譜読み!という段階なのですが、
とにかく、現代曲の譜読みは 難しい!!ベートーベン、モーツアルトとか、ショパンといった作曲家はある程度次にどういう和音が来るのか予測可能なので譜読みは(簡単だとは言いませんが!)比較的楽。しかし!このジャンルに至っては、長くかかるもので2ヶ月近く譜読みに要することも・・・。
お蔭様で、いかに難しい曲の譜読みを早くできるかという奥義も今や習得しつつあります(笑)。

今回のコンサートのプログラムは

Judith Weir: Music for 247 Strings 試聴→
http://www.chesternovello.com/Default.aspx?TabId=2432&State_3041=2&workId_3041=2745 
(この変てこな題名は、ピアノの弦の数243 + バイオリンの弦の数 4 を足したもの。)

Philip Cashian: Wynter Music 試聴→ 
http://www.bmic.co.uk/concerts/tour2007/concertdetail.asp?concertid=18

Hugh Wood: Poem

Graham Fitkin: Bolt

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最後のGraham Fitkinは、私の強い要求でプログラムに入れることが決定。というのも、私の尊敬するピアニストの一人、小川典子さんと、キャサリン・ストットさんのBridge Water Hallで聴いた サーキット(二台のピアノのためのコンチェルト)の初演を聴いて大興奮して夜も眠れなくなってしまった私は、その後ずっと Duo パートナーのEulalieに、「Fitkinの曲を弾きたいだよね私」オーラをずっと放ってきた結果、彼女にも私のFitkin病が移り、BOLTの演奏が実現! Fitkin の曲は一言で言えば COOL! その変拍子盛りだくさんのリズムは聴く人をわくわくさせるんです。

ここで今Eulalieと共に一番苦労している Cashian の一番難しくいらいらする箇所を公開。

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コレなのですが。
ピアノ譜には 9:8♪ と書かれたものが・・・。
これは、現代曲のひとつの特徴である、「スコアをより複雑に書く表記法♪」の代表例ですが
9つの八分音符分の長さを8つの十六分音符分の長さにする、つまり、
8拍手拍子を打つ間に9つの音を均等な長さで弾くというもの!
それを今度はバイオリンの5つ八分音符にあわせるといった、究極の技・・・。
これはまだそんなに難しくないほうですが、それでもかなり面倒くさいです。

なので、最高に複雑な表記法で、尚且つ音も多い現代曲を長い時間をかけてやっとの思いで譜読みしたのに、大して良い曲ではなかったときのショックといったら、結構大きいものです。

幸いこの曲はわりと気にいっているので遣り甲斐あります!

まだまだ先の話なのですが、私の話を聞いて現代音楽に足を踏み入れてみようかなぁという怖いもの知らずな気持ちになりましたら、Purcell Room にてお待ちしております!

近くなりましたらまた、改めてご案内申し上げます。