2025年10月のテーマ
「クリスティー関連本」
第一回は、
「ミステリの女王の名作入門講座 クリスティを読む!」
大矢博子 作、
東京創元社、 2024年発行
です。
作者の大矢博子さんはミステリー評論家で、名古屋で翻訳ミステリーの読書会やアガサ・クリスティー作品の講座などをされている方です。
クリスティー作品の読書会とか、参加してみたい~\(^▽^)/
私はこの本で初めて大矢博子さんという方を知ったのですが、他にもクリスティー関連の本を出しておられるならそのうち読んでみたいです。
作品の内容としては、タイトルの通り"クリスティー入門本"です。
何しろクリスティーは作品数が多いし、ポアロ、マープルもの以外のミステリーにスパイスリラー、戯曲、メアリ・ウェストマコット名義で書いた小説(叙情小説?)など、ジャンルもいろいろ。
この本は基本的に"ミステリーの女王・クリスティーの作品入門書"なので、内容的にはミステリーに絞ってあるけれど、読む作品を決める手法として、
第一章 探偵で読む
第二章 舞台と時代で読む
第三章 人間関係で読む
第四章 騙しのテクニックで読む
と、各章ごとに注目点を変えて作品を紹介してあります。
ちなみに最後の章は
第五章 読者をいかにミスリードするか
となっており、クリスティーの巧みな技術の一端が紹介されています。
「探偵で読む」章では、ポアロやミス・マープル、トミーとタペンスといった名探偵のほかに、バトル警視やパーカー・パイン、ハーリー・クインが探偵として紹介されていまして、これも嬉しい。
「舞台と時代で読む」章では、中東や乗り物の中が舞台の作品だったり、戦前、戦中、戦後で変わりゆくイギリス社会の世相が反映された作品が紹介されていて、「そうよね、そうよね。」とうなずきつつ私は読みました。
「人間関係で読む」章では家族関係や恋愛関係、特に三角関係の使い方に着目してあって、取り上げられている作品が、個人的に好きな作品が多かったので(といっても私は好きな作品が多すぎなんですけど)、この章は一番おすすめかもです。
「騙しのテクニックで読む」章と「読者をいかにミスリードするか」の章はミステリーのテクニック的なお話が中心なので、ミステリー好きの方にはおなじみの話になるかと思いますが、あまりミステリーを読まない方には、たくさんの気づきがあるかと思います。
ここから先は、個人的なお話になってしまいますが、…実は、もう何年も前(10年くらい前かも)のことですが、とあるサイトにクリスティ作品の記事を書かせていただいたことがあります。
当時ライターという仕事にあこがれていて、大好きなクリスティーのことなら書けると思って応募しました。
その時に、"クリスティーを恋愛で読む"というテーマで作品を5つ選んで書いたのですが、内容的にはオッケーをもらったものの、記事のタイトルに"恋愛"という言葉を入れないでほしいと指示があって、タイトルから抜いたことがあります。
理由は「クリスティーと恋愛が一般的には結び付かないから」。検索で引っかからないということだと思います。
当時、私としてはクリスティーの魅力はミステリーのトリックだけじゃないということを広く知っていただきたかったので、やはり物語のメロドラマ部分に関してはあまり一般的にはイメージされていないんだなと再認識させられたことでちょっと残念な気持ちにもなりました。うーん、違うな…世間の認識と自分の熱量のズレみたいなものを感じてちょっと冷静になったけど、その分なんか恥ずかしいみたいな???…うまく説明できません。すみません。
この本の中で、クリスティを「人間関係で読む」というすすめ方をされていて、まさしく恋愛関係の面白さが語られていたことで、思い出してしまったりなんかして…。(そんでもって、章の内容に共感して嬉しかったりもして。)
あと、こちらはもう手元に資料が残ってないんですが、確か同じサイトで"クリスティーの探偵たち"についても5人挙げて記事を書いたことがありまして、この本の「探偵で読む」の章で挙げられている探偵たちのうち、バトル警視を抜いた5人だったなあ…なんてことも思い出しました。(バトル警視が探偵に入ってるのわかるわあ…。私あの時なんで抜いたんかな…5っていう数字にこだわった???)
結局、お金をもらってきちんと信頼性のある記事を書くためには調査がたくさん必要で、運営側の意向もあるし、好きなことに対する自分の気持ちだけでは難しいということがよく分かったので、好きなことに関しては個人ブログで書くことにしました。
…って、いつの間にかめっちゃ自分語りになっとる…。すみません。
話を戻しますと、この本は「クリスティー入門本」なんだけど、いろんな角度からクリスティー作品を検討できるようになっているし、ミステリーの用語やテクニックなんかにも言及されていて、すでにクリスティー作品をたくさん読んでいる人にも、これから読んでみたい人にも、どちらにも面白く読める本になっていると思います。
私はミステリー好きだけど、トリックだとか作品の分類だとか探偵より先に自分で謎を解くこととかには無頓着なもので、この本で紹介されている"メイヘム・パーヴァ"という言葉を知りませんでした。自分がもう長く親しんでいる好きな分野であっても、"入門"とうたっている本からも新たな知識を得られるものです。あ…言葉の意味はぜひ本をお読みになって確認していただけるといいと思います。
おすすめいたします。(*^▽^*)









