日本語好きな人、寄っといで -20ページ目

微妙に違う人の性格

★「小泉純一郎」と「川端康成」


 郵政民営化法を強行実現させた小泉さんの一本気は人の知るところですが、多忙の中でもオペラ観劇をされるほどのクラシック愛好家です。そういう小泉さんのイメージが何となくノーベル賞作家川端康成さんに似ているのに気づいたので、お二人の名前を分析してみることを考えました。

 案の定、現れたデーターがあまりにそっくりなのに驚きました。
 あなたも、体験版 でお試しください。


 表情解析欄のグラフを見ると、表情語の棒の高さに違いはあっても、表情語がほとんど同じ順序で並んでいることがわかります。
 すなわち、お二人とも、優雅さや高級感を表す表情語『優雅さ、高級感、安らぎ感、非活性的』がトップの部分にあることと、どちらの情緒欄には「情緒的、クラシック、神秘的、夢幻的」があり、ひたすら優雅高邁な道を進む人であることがわかります。
 また、表情欄で「個性的、シンプル」が共に上位に並んでいるため、どちらもやや偏りのある孤高な性格であることがわかりますし、コンセプト・バリュー欄でも、好まれる年齢層が男女とも中高年に偏っているところも似ています。

 以上から、どちらも芸術家タイプの性格の人であるのがわかりますが、川端康成はすべての表情語のポイント数が低いため抑制的で内向性の強さがみえるのに対し、小泉さんはポイント数が全体的に極めて高いため、外に向かって強く打ち出す人であることがわかります。



★「松井秀樹」と「イチロー」


 世界のプロ野球の舞台で活躍しているスポーツマン2人の名前を分析してみました。


 どちらも、表情語の上位に「個性的、爽やか、シンプル、庶民的、明るさ、鋭さ、若さ」など、スポーツマンらしさを作る表情語が高点にあるのがわかりますが、その他の表情語から性格の微妙な違いが見られます。
 イチローにはスポーツマンには珍しい「優雅」、「暖かさ」、「安定感」など優雅さを表現する表情語が高点にあるのに対し、松井はそれらがすべてゼロポイントで素。だがその反対に、イチローにはゼロポイントの「爽やかさ」が松井には最高位のところにあるのがわかります。


 どちらもスポーツマンらしい雰囲気を人一倍持ちながら、それに徹し他性格の松井と、スポーツマンらしさの中に優雅さや複雑さを持ったイチローとの性格の違いを、音相分析が捉えているのがわかります。
(木通)

分析表と比べてください

――「体験版」は不十分なもの
 
 「体験版」 から取り出されるものは、コンピューター・ソフト「Onsonic」が取り出す全分析表の中の『表情解析欄』ですが、本物の分析表は複雑な算出の過程と、そこから生まれる9つの評価点から捉えた全表情を取り出しています。
 『分析表の見方』 に分析表が出ているのでご覧ください。


 分析表でお分かりのように、体験版はその語がもつ大まかな表情だけを捉えますが、機微にわたる表情や情緒を捉えておりません。
 そのため、体験版だけで捉えたものと、分析表から得た評価がまったく反対の結果になる場合も少なくないのです。体験版でお名前を分析してみて肩を落とした方も、それだけで失望されることはないのです。


 大切な名前や商品名、社名などを決められるときは、当研究所に正規の分析を依頼されることをお勧めします。
(木通)

「表情」はどんな方法で捉えたか

 ことばの「表情」を分解してゆくと、究極的に次ぎの5つのものに集約されます。

  陽・・・・・・・(明るい…プラスの表情…+B)
  陰・・・・・・・(暗い…マイナスの表情…-B)
  陽、陰ゼロ・・・(どちらでもない表情…B0.0)
  強い・・・・・・(強さがある…H0.1以上)
  弱い・・・・・・(強さがない…H0.0)

      (注、BはBlightness、HはHardnessの略)

 これらを組み合わせると、ことばが作る表情には次の6種類があるのがわかります。

  1.明るく強い表情・・・・・・・・・(+BとH0.1以上)  
  2.明いが弱い表情・・・・・・・・・(+BとH0.0)
  3.暗いが強い表情・・・・・・・・・(-BとH0.1以上)  
  4.暗く弱い表情・・・・・・・・・・(-BとH0.0)
  5.明るくも暗くもないが強い表情・・(B0.0とH0.1以上)
  6.明るくも暗くもなく弱い表情・・・(B0.0とH0.0)

 次にことばの表情を捉えるため、国語辞典から感情の入ったことば(1289語)を取り出して、感情の内容にしたがって上の6種に分類し、それぞれの中にどんな音素が多用されているかを調べました。

 それを元にことばの表情を作る40種の音相基を捉え、ことばの中に含まれている音相基同士の重なり合いから生まれる表情と、表情語同士の響き合いから生まれる「情緒」を総合し、それぞれの質と量に所定のウエイト数を掛けてでたのが音相分析表です。


 この過程の説明は大変長くなるのでここでは省略しましたが、詳しくお知りになりたい方は、参考書「日本語の音相」 57ページ以下をご覧ください。

(木通)

Q&A 音相理論でネーミングが作れますか

Q.

音相理論でネーミングが作れますか。


A.
 一時、ネーミングを作り出すソフトが開発されたことがありましたが、実用化には至りませでした。その理由は、わずか3拍(3音…たとえば「ひたち」)のネーミングを作る場合でも、日本語が持っている拍数138拍の3乗…262万8千語という膨大なことばが取り出されるため、そこから有効なものを選ぶ作業が大変だからでした。


 ことばは、ナマ身の人間のことば経験と感性の中から生まれてくるもので、理論やコンピューターから生まれるものではないのです。
(木通)

Q&A はっきりした表情を捉えられない語

Q.

 はっきりした表情を捉えられない語がありますが、それはどんな種類のことばですか。


A.
 はっきりした表情が出てこない語の例として、次の場合が上げられます。

 ①複雑な内容を持っている語
   陽と陰、強さと弱さ、静的と動的、活性的と非活性的など、反対方向を向く
  概念が対立している語の場合、これらの要素が内面で相殺しあうため、明白な
  表情となって表に出てこないのです。

   こういう例は複雑な内容をもった語に多く出ますが、明白な表情が出ないか
  ら良くない語というものではありません。
  (例、UFJ、JR、DOCOMO、JA、ニコン…)

 ②あいまいな意味をもっている語
   あいまいな意味や、不明瞭さを意味に持つ語は、当然、表情語もあいまいな形
  で表われます。
  (例、まぼろし、あいまい…)

 ③意味だけを考えて作った語
   意味だけを考えて作った語は、音相的な配慮がもともとありませんから、そこ
  から明白なイメージを捉えることはできません。
  (例、悪魔、鎮魂歌、キャバクラ、ボキャ貧、激辛…)
(木通)

「たそがれ」という語の美しさ

 「たそがれ」は「誰そ彼(かれ)」(あの人は誰?)が元でできたことば。日が落ちた薄暮の風情を捉えた情緒あふれることばです。


 分析表の表情語欄をみると、上位の部分に「高級感、充実感、非活性感、暖かさ、安らぎ、安定感、高尚さ」がありますが、これらは、高雅な雰囲気を表すうえで常に欠かせられない表情語です。また、体験版で省略してある「情緒欄」には「人肌の温もり感、情緒的、哀感、寂しさ、孤独感」など人や人生に思いをよせながら、「古典的、神秘的、不可思議感」などが悠久感を伝えています。


 わずか4拍の語のどこからこんな風情が生まれるのでしょうか。
 1つは、表情語の最高ポイント数を25.0と極めて低く抑えたことといえましょう。最高ポイント数を抑えると、それだけで現実から一歩離れた神秘感や悠遠感が生まれるのです。
 2つ目は、「そ(so)」という音が作る逆接拍の効果です。
 逆接拍を加えたことで、以上で述べた「高級感、情緒感、神秘感」などが、さらに奥行きのあるものになっているのです。


 逆接拍については、次の項で述べてみたいと思います。
(木通)

逆接拍がもつ魅力

 ピアノのキ-を1つの指でたたくと単純な音に聞こえますが、2つのキ-を同時に打つと高と低(プラスとマイナス)とが重なって奥行きや厚みのある響きが生まれます。

 この原理をことばの音に取り入れて、私は逆接拍、順接拍と名づけました。
 音相論では子音と母音がプラスとマイナス(明るさと暗さ)の反対方向を向く拍(音節)が逆接拍、同じ方向のものが順接拍ですが、ピアノのときと同様、逆接拍は順接拍より奥ゆきや深みのある表情を作ります。
 
 それを、「金」「銀」ということばを例に、見てみましょう。
 次の表に見られるように、「キン」の「キ」は子音と母音が+と+(陽と陽)の同じ方向を向く順接拍ですが、「ギン」の「ギ」は-と+(陰と陽)と反対方向を向くので逆接拍となります。
   キ……k(+B1.3 H1.3) + i (+B1.0 H1.0)
   ギ……g (-B2.0 H1.0) + i (+B1.0 H1.0)

 その結果、「金」と「銀」はまったくべつのイメージをつくります。
 「金」は金属の価値では銀の50倍も高価ですが、順接構成である「キン」は「金満家、金歯、成金,金ピカ」のような表面的な美しさだけを意味したネガティブなことばの中でも多く使われます。

 これに比べ、逆接構成でできている「銀」は、「いぶし銀、銀座、銀の鈴、銀馬車、銀ぎつね、銀河」など内面的な美しさや豊かさを感じることばに多く使われ、ネガティブな意味のことばとして使われる例はほとんどありません。


 前項で取り上げた『たそがれ』の例も、逆接拍が作った美しいことばなのです。
 順接、逆接のこのような違いを端的に見せている語に「奇麗」と『美しい』、「キラキラ」と『ギラギラ』、「青い海」と『ブル-の海』など多くの例が見られます。(順接語は「 」で、逆接語は『 』で示しました) 


 また、草むらにすだく秋の虫の名でも逆接拍の入った虫に『まつむし、すずむし、こおろぎ、きりぎりす、くつわむし』があり、順接拍だけの虫の名には「うまおい、かねたたき、かんたん」などがありますが、古くから詩歌などで歌われているのは逆接拍の入った前者の方で、同じように美しい音色を持ちながら順接構成の名をもつ後者の虫は、詩歌などにでてくることがほとんどないのです。
 秋の哀れを歌う虫の名には、逆接拍の入った名前の方がふさわしいと感じる音相感覚を日本人は大昔からもっていたことがわかるのです。
(木通)

ネーミング評 … 『ブラビア』(大画面液晶テレビ)

 ソニーが近く発売する大画面の液晶テレビのネーミングです。
 音相を分析したら、次のような結果が出ました。

(あなたも体験版でご確認ください)

 表情語の上位に「高級感、充実感、静的、信頼感、安定感、優雅感、高尚感」などが並び高級商品のイメージを捉えていますが、それに続く「シンプル感、個性感」が他と違うという異質感を表現し、そのあと「暖かさ、安らぎ感、明るさ」などを加えて家庭的な寛ぎムードを作っています。

 さらに総ポイント数を低くしたため、『たそがれ』の項でみたと同様、語全体に落着き感や奥行き感がつくられています。


 また、体験版にはでていませんが情緒欄には「長期的、流動感、人肌の温もり感、情緒的、穏やかさ、普通でない感じ」などもあり、テレビという商品がもつ多くの機能やイメージを適切な音をつかって表現した優れたネーミングであることがわかるのです。
(木通)

Q&A  会津八一の短歌の秘密

Q.私は、会津八一のひらがな歌が大好きです。言うに言えない不思議な魅力を感じるのです。
  「ふぢはらの おほき きさき を うつしみに
      あひ みる ごとく あかき くちびる」
 このようなひらがな歌の美しさの原因を、音相理論と結びつけて説明できるものでしょうか。お教えください。
(K・M)


A.ひらがな歌は、ベールのかかった魅力です。
 八一の歌に魅せられたあなたに敬意を表します。
 私もひらがなを追う八一の歌にひとしお魅力を感じています。
 詩人、草野心平は「漢字は硬く、カタカナはジャックナイフ、ひらがなは天平美人の眉」と言いましたが、天平美人の眉とは手の届かないところにほの見える夢幻的なものを意味していると言ってよいでしょう。

 ひらがなは、日本人が文字を持たない時代から使ってきた素朴な「やまとことば」の心を表現するにふさわしい字体のように思うのです。


 ひらがな文字がなぜそんな雰囲気を作るのかを、考えてみました。

 「かおり」という意味を持つ文字には「香、薫、芳、馨、馥、カオリ」など、
 種々のものがありますが、これらには微妙に違うイメージがあり、中
 の1つの文字を使うと、イメージが固定されてしまいます。 
 そのため、幅広い意味を含めて表現したいときは、やまとことばの「かおり」を使うのがもっともふさわしいことばになるのです。
 やまとことばは語彙が少ないため意味の巾が広くなり、具体性や現実性には欠けますが、それだけに概念の幅が広くなり、「ことば、コトバ、詞、言葉」の上に薄絹の「紗」をかけたような雰囲気が生まれるのです。
 会津八一のひらがな歌の魅力はそんなところにあると私は思います。

 私は「言葉」という語を文字にするとき、ひらがなで「ことば」と書いていますが、これも同じ考えによるものです。ことばには、学問的な言葉、女性のことば、子供のコトバ、日本の言葉、外国のコトバ、故人のことばから神に通じる詞(ことば)までありますが、それらのすべてをまとめて言い表すには、「ことば」と書くのが一番ふさわしいように思っています。 
(木通)

「表情」はどこから生まれるのか

 ネーミングの専門家たちの間で「濁音は暗い音だから語頭におくのは禁物だ」などと言われています。
 だが、「バヤリース・オレンジ」「バイタリス」「バズーカ」「ギア」「ディオール」など、好評といわれるネーミングの中で濁音を冒頭においた例が数え切れないほどあるのをみても、こういう言い方には個人の特殊な経験や好み…主観が大変多くはいっていることがわかるのです。
 濁音には「暗さ」ばかりでなく、「落着き、重厚感、豪華さ、優雅さ、穏やかさ、暖かさ」などもあるのです。


 また、「アは明るい音」とよく言われますが、「ア」には「穏やか、無性格的、無責任、どんなところにもアダプトできる音」などの表情がありますし、「イ」にも「明るく、強い音」と言われているほかに「鋭さ、小ささ、異常さ」などの表情ももっています。

 このように、音の一つ一つは多くの音相を持っているうえ、他の音の表情と響きあって新しい「表情」を作る場合も少なくありません。
 また、清らかさをきわ立たせるため、清らかでない音を前後に配する工夫がされたことばも多いのです。


 音相論は、そのようなことばの表情を整理して体系づけた理論なのです。
(木通)