先週イギリスのお話をして、当時のことをいろいろと思い出しました。

本日は、ちょっと不便な状況が、かえって自分の英語力アップにつながった、というお話しです。

大学院で学んでいたので、大学からメールアドレスをいただくことができました。おかげで、日本にいる知り合いとメールのやり取りができるようになり、大変便利でした。もしそれがなければ、手紙か電話しかなかったので、きわめて不便だったと思います。

ただ、ちょっと困ったのは、大学に日本語が使えるPCがなく、メールはすべて英語で書いたり読んだりしなければなりませんでした。

いまなら、自分のノートPCを持参し、ネットにつなげばすぐに日本語でメールやインターネットができると思うのですが、当時は、そもそもノートPCは高価で、持っている人は少なく、また、インターネットケーブルをノートPCにつなぐという発想そのものがほとんどありませんでした。もちろん、Wi-Fiもありません。

なので、メールにするには、パソコン室に行って、備え付けのデスクトップPCを使う以外に方法はありませんでした(パソコン室が空いていな時間帯はメールができません)。そして、そのPCは英語のみに対応していたので、結局、かなり大量の英語を読んだり書いたりしました。

渡英した当初は比較的時間もありましたし、また、遠く離れた地で日本の知人とほぼリアルタイムに近いやり取りができるので、うれしくて、日に何度もパソコン室に向かいました。幸い、知人は英語関係者ばかりだったので、英語でのやり取りが可能でした。

短期間に大量の英語を書いたことが、自分の英語力を向上させる上で、ある程度役に立ったのではないかと思います。もし、今のように日本語が簡単に使える状況だったら、やはり日本語を使っていたでしょう。

メールは使えるが、英語しか使えないというちょっと不便な状況に追い込まれたことが、自分の英語力アップのためにはよかったのだと思います。
 

7月4日(木)にイギリスで総選挙が行われ、14年ぶりに政権が交代しました。

最大野党であった労働党が「歴史的」と呼ばれる大勝利で与党・保守党を破り、政権を握りました。

前回、労働党が保守党を破り政権に就いたのが1997年5月1日に行われた総選挙でした。このとき、私はイギリスに留学中だったので、よく覚えています。

日本と共通することもあれば、異なることも多々あり、大変興味深いものでした。

帰国後、その折に見聞きしたことをまとめて、留学でお世話になったロータリー財団・2570地区の学友会のメーリング・リストに投稿しました。

27年前に書いたものなので、もう残っていないのですが、内容を一部記憶しているので、忘れないうちに書いておきます。

〇投票日は木曜日

日本では、投票日は日曜日です。よく調べればそれ以外の曜日があるのかもしれませんが、私の知る範囲ではすべて日曜日です。

イギリスの総選挙の投票日は木曜日でした。今回も木曜日でした。平日だから多くの人は仕事があって投票に行けないのではないかと思い、周囲のイギリスの方にお聞きしたら、その日は早めに退社が可能だそうです。日本は日曜日だと話したら、「それは、いいことだね。仕事を休まなくて済む」と言ってくださったのですが、投票率を見ると、イギリスのほうがずっと高く、曜日の問題ではないな、と思いました。

〇選挙結果の発表方法

投票終了後にすぐ開票作業にはいるため、夜中に結果が発表される選挙区が多く、夜中までテレビを見ていました。驚いたのは選挙結果の発表方法です。市民会館の小ホールのようなところに立候補者全員が集まり、舞台上に横一列に並びます。そして、選挙管理委員会(多分)の方が各候補者の得票数を読み上げます。当選した候補者は大喜び。でも、落選者も同じ場にいるので、なんだか気の毒でした。

〇地滑り的勝利

今回の大勝利をメディアは landslide と表現しています。「地滑り」という意味で、日本でもこれを訳して「地滑り的勝利」という表現が使われることがありますね。「圧倒的勝利」という意味です。1997年の選挙でも労働党の勝利(659議席中419議席を獲得)を landslide と表現していたので、今回の勝利はその再現と言えます。

その際も保守党の有力議員が相次いで落選しましたが、今回、前首相のリズ・トラスも落選しましたね。

〇泡沫候補

立候補者の中で当選の見込みが極めて低い候補者を「泡沫候補」と言います。少々差別的な響きがあるので、近年日本で耳にすることは少なくなった気がします。

 

Wikipediaには「選挙活動を通して、名前や顔・公約・政治信条などを知ってもらい、知名度を上げることなどが、立候補者にとってのメリットとなる」との記述がありますが、1997年時も、私の周りでそれらの候補を笑う人たちがいました。日本でも状況は同じかもしれませんね。

Googleで「泡沫候補」を検索したら、「英総選挙のお馴染み泡沫候補、「ゴミ箱伯爵」」というサイトがありました。英国では有名な方のようですね。

〇自由民主党

イギリスは保守党と労働党が二大政党ですが、もちろん、他にも中規模・小規模の政党が存在します。今回の選挙で議席数が3番目に多かったのが、自由民主党です。これは、世界史を学ぶと必ず出てくる「自由党」の流れをくむ党です。1997年の選挙ではアッシュダウン党首のもと、それまでで最大の議席数を獲得し、話題となりました。今回の選挙では議席数がさらに上回ったそうです。

となると、今回は、労働党の大勝利、自民党の勝利、保守党の大敗北、と言えそうです。

他にも何か書いていたと思うのですが、今は思い出せません。思い出したら、ここに追記します。


それにしても、うらやましいのは、ちゃんと政権交代が起きているということです。日本でも2009年7月に政権が自民党から民主党に移りましたが、その後また自民党に戻り、今ではその自民党に対抗できる勢力がありません。

私は、特定の支持政党を持っていませんが、アメリカやイギリスのように政権交代が何度も起きるような状態になってほしいと思います。

研究室にずっとおいたままの教具があります。

 

これはかつて所沢市の公立中学校で教諭をされていた小林泰義先生が使っておられたもので、先生がご定年で退職された折にいただいたものです。

 

これは生徒たちに代名詞の感覚を持ってもらうための教具です。一枚のカードの表に単語やフレーズが書かれており、その裏にはそれを表す代名詞が書かれています。

 

例えば、下のカードは表に a girl と書かれています。

 

 

そして、これを裏返すと、その代名詞(主格)の she が書かれています。

 

 

a girl を代名詞にすると she になるということが一目でわかります。

 

そんなの簡単なことと思われるかもしれませんが、英語が苦手な生徒には、大事なステップです。

 

以下、同様に。

 

 

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これなどは、もとのフレーズに your が入っているので、中には you だと勘違いする生徒もいますね。

 

次はちょっとむずかしい。

 

 

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そして、これも。

 

 

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さらに長くなります。このカードの良さが発揮されるのが、この長いフレーズの場合だと思います。

 

 

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さらにもう一枚。

 

 

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これをご覧になった金谷憲先生(東京学芸大学名誉教授)は、「この長さがいいね」とおっしゃっていました。 you and your teacher が、たった一語の you になるという感覚を長さで示している点を褒めておられました。この点は、パワポなどのICTよりも、こういう手作り教材のほうがよさそうですね。

 

小林先生にいただいたものの、なかなかご紹介する機会がありませんでした。何度か授業で紹介したがって、この教具の良さを十分に伝え切れていないと感じています。ここで少しでもご紹介できてよかったです。
 

先週、教師が敢えて下手な英語を話すと、生徒が話す英語が増える、というお話をしました。

「教師が英語が下手なふりをすると生徒は英語で話しやすくなる???」

関連で、こんなお話があります。

このブログで何度も紹介している SITC という英語イベントは、英語のみで過ごす(日本語禁止)イベントですが、ここに英語のネイティブスピーカーはいません。

このことに対し「英語だけなのに英語のネイティブスピーカーがいないの?」というご意見を何度かお聞きしたことがあります。

確かに、英語の雰囲気を作るという点では、意味があると思います。ただ、もしネイティブスピーカーを呼んでしまうと、彼等・彼女たちが英語をどんどん話し、日本人参加者は気後れして、ますます話さなくなってしまうでしょう。

「聞くこと」が悪いと言っているのではありません。英語のスキルを上げる上では、非常に大切なステージです。しかし、SITCの目的は、参加者の「話す」力を向上させることです。そのためには、やはり話す場面を増やす必要があります。ネイティブスピーカーの方が参加されると、それが妨げられてしまう可能性があります。

私が学生の頃に参加していた KITC や AITC でも基本的にネイティブスピーカーを呼ぶことはありませんでした(いまはどうかわかりませんが)。ほんの数回だけ英語ネイティブスピーカーが参加したことがありましたが、その方々は、教師経験などがあり、主旨を理解している方のみでした。

前回のお話と同じ理屈ですね。

知り合いの先生がこんなことをおっしゃっていました。

「自分が流ちょうに英語を話しているときよりも、あまりうまく話せないときのほうが、生徒は英語をよく話す気がする」

一見すると、一般的通念と矛盾しているように思えますが、よくよく考えてみると、それほど不思議なことではない気がします。

先生が見事な英語で話すと、生徒は「自分には無理!」と委縮して話せなくなってしまう可能性があります。

一方で、先生が少々たどたどしかったり、つっかえたりすると、生徒の心理的ハードルが下がり、話しやすくなるのかもしれません。

もちろん、教師は生徒が憧れるような英語を話せないといけませんが、生徒にもっと英語で話してほしいというときには、時々、わざと、あえて下手な英語で話してみるのも一案だと思います。でも、これを免罪符にして自分の英語を鍛えることを怠ることがないようにしたいものです。

2024年の夏の英語教育関連の団体の全国大会などをお知らせします。学会に出かけましょう!

第24回小学校英語教育学会(JES)中国・山口大会(山口大学)
7月14日(日)・15日(月・祝)
https://sites.google.com/view/jeszenkoku2024

新英語教育研究会(新英研)第60回全国大会 宮城大会
8月3日(土)・4日(日)
宮城県 東松島市コミュニティセンター
https://shin-eiken.sakura.ne.jp/act/national/index.html

外国語教育メディア学会 (LET) 第63回年次研究大会
8月6日(火)~8日(木)
https://www.j-let.org/let2024/

英語授業研究学会(英授研)第35回全国大会
8月10日(土)、11日(日・山の日)
大阪商業大学
https://eijuken.smoosy.atlas.jp/ja/notices/1761

ELEC同友会サマーワークショップ
8月13日(火)、14日(水)
実施方法:対面・Zoomによるオンライン(ハイフレックス) 
対面会場:東京学芸大学附属竹早中学校
https://elecfriends.com/%e3%82%b5%e3%83%9e%e3%83%bc%e3%83%af%e3%83%bc%e3%82%af%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%83%e3%83%972023-2/

関東甲信越英語教育学会(山梨大会(都留文科大学))
8月17日(土)・8月18日(日)
https://kate-jp.sakura.ne.jp/t/program01/

全国英語教育学会 第49回福岡研究大会(福岡工業大学)
8月24日(土)・8月25日(日)
https://www.jasele49fukuoka.org/

なお、11月15日(金)・16日(土)に全英連の全国大会が埼玉県で開催されます。全都道府県が順番に持ち回りなので、約50年に一度回ってきます。埼玉では初の開催となります。まだ大会サイトはできていませんが、下記のHPから情報を得てください。何かわかった時点でお知らせします。

https://www.zen-ei-ren.com/

 

先週から今週にかけて、2か所でお話しをさせていただきました。

まず先週の土曜日にR大学でお話をさせていただきました。同大学のM先生がお声かけくださいました。教科教育法の一部として設定されているとのことで学生のみなさんや卒業生のみなさんが参加してくださいました。

コミュニケーション活動の具体例をいくつか実演させていただいたり、feedbackの重要性などをお話しさせていただきました。

学生のみなさんが熱心にご参加くださり、大変うれしかったです。ありがとうございました!

また、本日、埼玉県の高英研様にお招きいただき、お話しさせていただきました。普段は小学校や中学校の先生方の前でお話しをさせていただく機会が多いので、高校の先生方へお話しさせていただくのは本当に久しぶりでした。柄にもなくずっと緊張しておりました。

今回の内容ですが、これはいつもと違う内容で進めました。英作文のfeedbackや英単語の小テストの方法など、データを元にしたお話しが中心です。先生方には、ペアで考えていただく時間を適宜取りましたが、こちらも非常に積極的にご参加いただきました。

また、県内の高校で働いている卒業生も何人か参加してくれて、いろいろとお話しできました。うれしかったです。


毎度のことですが、一番勉強になったのは私ではないかと思います。本当にありがとうございました!
 

先週の土曜日に毎年恒例の SITC for Freshers を開催しました。

丸一日英語でいろいろな活動を楽しむイベントです。これまでもこのブログで毎年ご報告をしています。

「現代英語」という授業の一環として行っているのですが、この授業は英語分野の1年生(去年までは小学校コースは2年生)が事実上必修の授業なので、英語分野の学生は全員が在学中に一度は経験することになります。

*今までは SITC for Freshmen という名前だったのですが、今年から Freshers に変えました。

TA(Teaching Assitant)と呼ばれる学生ボランティアが企画から運営まですべてを担ってくれています。私は教室予約や飲み物の買い出しなど彼等・彼女たちがスムーズに進められるよう、サポートをしています('Assistant' は私ですね(笑))。

2008年度の入学生から全員が参加しているのですが、2020年度と2021年度はコロナ禍で対面では実施できず、オンラインで実施しました(「SITC on Zoom!」と「今年も Zoom で SITC!」で報告)。きわめて厳しい条件の中、当時のTAのみなさん、そして参加者のみなさんが本当に頑張ってくれたので、参加した後輩たちが先輩からのバトンをつないでくれました。

2022年度は3年ぶりの SITC for Freshmen(当時の名称)を対面で開催。ただし、この時はまだ午後のみの半日開催でした。 翌年も午後のみの半日開催。でも、徐々にかつてのSITCに戻っていきました。

 

そして、今年ついに5年ぶりの一日開催となりました。感慨深いです。

TAは総勢16名。3年生が中心でしたが、2年生が非常に多く、活気があふれていました。いろいろと忙しい中、1か月以上も前から準備に取り掛かり、スケジュールの決定やマテリアルの準備、そして本番に向けての練習と、すべて見事に成し遂げてくれました。TAのみなさん、ありがとうございました!

そして、参加してくれたみなさん、ありがとうございました!
 

授業でパワーポイントなどのプレゼンソフトやアプリを使うという方、多いと思います。児童生徒のみなさんが発表で使うことも多いでしょう。

「プレゼン用リモコン」と聞いてもピンとこないという方も、写真を見ればすぐにわかると思います.

(↓私が使っているものです)。
 

          

 

私もよく使います。パワポで作ったスライドを使って授業で説明したり、講演でお話しさせていただくときなど、とても便利です。

これがあると、お話をするときにPCから離れることができるので、学生や先生方の反応を拝見しながら自由に動き回ることができます。また、自然と顔が上がるので(逆の言い方をすれば、リモコンがないとPC画面を見ている時間が長くなるので)、皆さんのほうに顔をしっかりとむけながらお話しできます。

また、これは児童生徒のみなさんや学生のみなさんのプレゼンでも効果があると思います。体がaudienceのほうに向くので、話す人と聞く人が対話をするような印象が生まれるでしょう。

ちょっとしたのように思えるかもしれませんが、実際は影響が大きいと思います。これまで使ったことがないという方は是非一度試してみてください。