7月4日(木)にイギリスで総選挙が行われ、14年ぶりに政権が交代しました。

最大野党であった労働党が「歴史的」と呼ばれる大勝利で与党・保守党を破り、政権を握りました。

前回、労働党が保守党を破り政権に就いたのが1997年5月1日に行われた総選挙でした。このとき、私はイギリスに留学中だったので、よく覚えています。

日本と共通することもあれば、異なることも多々あり、大変興味深いものでした。

帰国後、その折に見聞きしたことをまとめて、留学でお世話になったロータリー財団・2570地区の学友会のメーリング・リストに投稿しました。

27年前に書いたものなので、もう残っていないのですが、内容を一部記憶しているので、忘れないうちに書いておきます。

〇投票日は木曜日

日本では、投票日は日曜日です。よく調べればそれ以外の曜日があるのかもしれませんが、私の知る範囲ではすべて日曜日です。

イギリスの総選挙の投票日は木曜日でした。今回も木曜日でした。平日だから多くの人は仕事があって投票に行けないのではないかと思い、周囲のイギリスの方にお聞きしたら、その日は早めに退社が可能だそうです。日本は日曜日だと話したら、「それは、いいことだね。仕事を休まなくて済む」と言ってくださったのですが、投票率を見ると、イギリスのほうがずっと高く、曜日の問題ではないな、と思いました。

〇選挙結果の発表方法

投票終了後にすぐ開票作業にはいるため、夜中に結果が発表される選挙区が多く、夜中までテレビを見ていました。驚いたのは選挙結果の発表方法です。市民会館の小ホールのようなところに立候補者全員が集まり、舞台上に横一列に並びます。そして、選挙管理委員会(多分)の方が各候補者の得票数を読み上げます。当選した候補者は大喜び。でも、落選者も同じ場にいるので、なんだか気の毒でした。

〇地滑り的勝利

今回の大勝利をメディアは landslide と表現しています。「地滑り」という意味で、日本でもこれを訳して「地滑り的勝利」という表現が使われることがありますね。「圧倒的勝利」という意味です。1997年の選挙でも労働党の勝利(659議席中419議席を獲得)を landslide と表現していたので、今回の勝利はその再現と言えます。

その際も保守党の有力議員が相次いで落選しましたが、今回、前首相のリズ・トラスも落選しましたね。

〇泡沫候補

立候補者の中で当選の見込みが極めて低い候補者を「泡沫候補」と言います。少々差別的な響きがあるので、近年日本で耳にすることは少なくなった気がします。

 

Wikipediaには「選挙活動を通して、名前や顔・公約・政治信条などを知ってもらい、知名度を上げることなどが、立候補者にとってのメリットとなる」との記述がありますが、1997年時も、私の周りでそれらの候補を笑う人たちがいました。日本でも状況は同じかもしれませんね。

Googleで「泡沫候補」を検索したら、「英総選挙のお馴染み泡沫候補、「ゴミ箱伯爵」」というサイトがありました。英国では有名な方のようですね。

〇自由民主党

イギリスは保守党と労働党が二大政党ですが、もちろん、他にも中規模・小規模の政党が存在します。今回の選挙で議席数が3番目に多かったのが、自由民主党です。これは、世界史を学ぶと必ず出てくる「自由党」の流れをくむ党です。1997年の選挙ではアッシュダウン党首のもと、それまでで最大の議席数を獲得し、話題となりました。今回の選挙では議席数がさらに上回ったそうです。

となると、今回は、労働党の大勝利、自民党の勝利、保守党の大敗北、と言えそうです。

他にも何か書いていたと思うのですが、今は思い出せません。思い出したら、ここに追記します。


それにしても、うらやましいのは、ちゃんと政権交代が起きているということです。日本でも2009年7月に政権が自民党から民主党に移りましたが、その後また自民党に戻り、今ではその自民党に対抗できる勢力がありません。

私は、特定の支持政党を持っていませんが、アメリカやイギリスのように政権交代が何度も起きるような状態になってほしいと思います。