先日、知り合いのT先生がSNSに下記の新聞記事を引用した投稿をされました。

中学生の英語力低下なぜ? 小中接続に課題「基礎分からないまま」
(→これは有料版なので一部のみ閲覧可能です)

記事の概要は、昨年7月に公表された「経年変化分析調査」で中3の英語の成績(2024年実施)が前回(2021年)のより低下したが、その背景には、中学校英語の内容の難化があるのではないか、というものです。

ただ、その中に気になる一節が。

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「アルファベットも書けない」 小学校では何を?

 「中学入学時点で8割以上の生徒がアルファベットも書けない」
 こう指摘するのは、北関東の中学で教える英語教諭だ。中1の最初の授業で曜日を書かせたところ、すべて正答したのは約30人中3人ほどだったという。

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T先生は、「曜日の名前を英語で書く」ということは小学校の目標ではないことを指摘し、この発言の問題点について述べておられました。

T先生が指摘されている通り、小学校における「書くこと」の目標は単語や文を「書き写す」ことです。何も見ずにすらすら書けることは、小学校の目標ではありません。その意味で、「小学校では何を?」という小見出しや文脈は小学校の先生に失礼だと思います。中学校の先生方の大部分のは小学校で扱う範囲を正確に理解していると思いますが、このような報道があると残念に思います。

ただ、一方でもう一つの可能性もあります。

そもそも記事では、この英語教諭の発言の前後のやり取りや意図が十分に示されているわけではありません。そのため、この発言だけを取り上げて真意を判断することは難しいように思います。

もしかすると、この北関東の先生は、生徒の実態を把握するために曜日を書かせてみただけであり、小学校で扱う内容や目標については十分に理解していた可能性もあります。ところが、記者がその点を十分に理解しないまま、「小学校では何を?」という問題提起として記事を構成した可能性も否定できません。

また、中には最初から一定の結論を想定して記事を書く記者がいるとも聞きます(今回の記者の方がそうだと言っているわけではありません)。その場合、自分の主張に都合のよい部分だけが取り上げられ、結果として、取材を受けた方の意図とは異なる形で意見や考えが伝わってしまうこともあるでしょう。

T先生の投稿に対して私が上のようなコメントをしたところ、T先生も「2つ目の可能性を信じたい」とおっしゃっていました。

これに限らず、英語教育に関してはさまざまな誤解が存在しているように思います。そのような誤解が少しでも減るよう、私自身も情報発信や説明に努めていきたいと思います。
 

登録している「初中教育ニュース(初等中等教育局メールマガジン)」第518号(令和8年5月22日)に、「『ローマ字のつづり方』Q&Aを公開しました!」と紹介されていたので、早速アクセスしてみました。

メルマガは先日送られてきたばかりですが、Q&A自体の公開は2月だったようです。

「ローマ字のつづり方」そのものは、昨年12月に発表されています。比較的大きく報じられていたので、記憶されている方も多いのではないでしょうか。以下のサイトからダウンロードできます。

ローマ字のつづり方

そして、今回のQ&Aは下記サイトにあります。「『ローマ字のつづり方』(令和7年内閣告示第4号)に関するQ&A」をクリックしてください。

国語施策

さらに、短い解説動画も公開されています。概要を知るのに便利です。

「ローマ字のつづり方」解説動画

動画は5つに分かれていますが、合計しても20分程度です。まずはこちらを視聴されることをお勧めします。今回の改定の大部分を把握できると思います。

今回の改定は、1954年の内閣告示以来、実に70年ぶりとなるものです。今回の改定の中心となる考え方は、

「ヘボン式を基本とする」

という点にあります。

ただ、あくまでも「基本」であり、完全にヘボン式へ移行しているわけではない、というところが今回の複雑さでもあります。その背景には、すでにさまざまな表記方法が広く用いられており、それらを一つの方式に統一することが難しかったという事情があるのでしょう。改定に当たられた委員の皆様の苦労がうかがえます。

そのため、文化庁は今回の改定内容を「よりどころ」と表現しています。厳格な「ルール」というより、頼りになる「参考」といった位置づけなのかもしれません。

いくつか例を挙げます。

◎ヘボン式に準じたつづりを採用
(「し=shi」「チ=chi」「ツ=tsu」「フ=fu」など)

◎撥音「ン」については n を用いる形を表に収録
→ 英語では b・m・p の前で m を用いることも多いと思いますが(kampai、shimbun など)、今回の改定では、例外なく n を用いる形(kanpai、shinbun)が示されました。

◎長音は以下の2通りを認める
・符号を付ける:Tōhoku、jūgoya
・母音字を並べる:Touhoku、juugoya(現代仮名遣いに従う)

気を付けなければならないのは、これがローマ字であって、英語そのものではないという点です。基本的に、ローマ字は日本語を表記するためのものです。

したがって、「東北」を Tōhoku と表記することはローマ字としては問題ありませんが、英語圏向けの表記では、このような長音符号は省かれることが一般的です。そのため、Tohoku や Touhoku といった表記が用いられることになります。

しばらくは、さまざまな表記が併存し、判断に迷う場面も出てくるかもしれませんね。

過去の記事を再掲する "Throwback Friday"。

先日、日本テレビの「踊るさんま御殿」を見ていたら、出演者がみな左利きの方で、日々の苦労についてお話しされていました。

特に、文字に関するお話しは、私たち教育者に関わる重大なものだと感じました。

その時に思い出したのが、約2年前に書いた自分のブログ記事です。

これは村上加代⼦先生(武庫川⼥⼦⼤学)のご講演をお聞きして書いたものです。

(↓)こちらをクリックしてください。

やはり英語の文字に書き順テストはいらない(左利きへの配慮が足りない)(2023-08-18)

そして、この記事には下記の記事へのリンクもあります。

「英語の文字には書き順がない」ことについて(2022-05-27)


書き順テストは不要(2020-01-27)

さらにそのあとで書いた記事がコレ。

日本語にも書き順テストはいらない(2023-11-17)

お読みいただけると幸いです。
 

本日(5月9日)、今年度のSITC for Freshersを開催しました。

SITCは、埼玉大学教育学部英語講座が年に3〜4回実施している英語集中訓練プログラムです。文字通り「英語だけで一日を過ごす」のが特徴で、ゲームやディスカッションはもちろん、休憩中や昼食時の会話もすべて英語です。

今年の参加者は、「現代英語」を履修する英語専修の1年生23名。今年から小学校・中学校のコース別クラス編成がなくなり、入学者数もこれまでの18名から23名に増えました。10年前に戻った感覚です。

1年生たちは最初から最後まで積極的に取り組んでくれました。約7時間ぶっ続けで英語漬けというのはなかなかハードだったと思いますが、みんなよく頑張ってくれました。

そして今回も大活躍だったのがTA(ティーチング・アシスタント)の皆さんです。3・4年生11名のうち、当日参加できたのは9名でしたが、23名の学生を9人で担当するのはかなりの挑戦でした。

それでも、活動の進め方や教室のレイアウトを工夫しながら、見事にやり遂げてくれました。さらに、別の3・4年生3名が当日サポートに駆けつけてくれたのも心強かったです。

終了後のアンケートには、「TAに興味がある」と書いてくれた1年生が数名いました。頼もしい限りです。次回はregular SITCを計画中。より多くの1年生に(もちろん2年生以上も歓迎!)ぜひ参加してほしいと思っています。

とある衣料品コーナーで、こんな表示を見つけました。
 


へー、そうなんだ。「カットソー」は cutsew じゃなくて、cutsewn なんだ。

ということは、cut は原形ではなく過去分詞か!これは大発見かもしれない。

cutsewn はやや不自然だから、きっと、もともとは cut and sewn じゃないかな。

cut and sew だと、「切る」「縫う」の能動の形で、主語は人間。でも cut and sewn だと、「切られる」「縫われる」で、主語は生地のほう。

そういえば、英語が日本語になるとき、活用の一部が省略されることはよくある。例えば、iced(氷で冷やされた)→ アイス、whipped(泡立てられた)→ ホイップ、など。

だから、本当は cut and sewn(cutsewn)なのに、「カットソー」という日本語になったんだな。

衝撃だ!でも、勉強になった。今度、英語教育ゼミや指導法の授業で話せるな。

この段階で、こう思いました。そうだ、念のためClaudeに聞いてみよう。「私の解釈で合ってますよね!」と。

……そして、本当の衝撃はここからだった。

Claude の答えは――

「『カットソー』は和製英語で、英語圏では通じません」

え〜?! なんと!

さっきまでの「考察」は何だったんだ……。

調子に乗って、もっともらしい「考察」をしてしまったものの、的外れだった。なんとも恥ずかしい。

でも、Claude は優しい。こんなふうに慰めてくれた。

「過去分詞という正しい文法形式を使っているので、英語として違和感がなく、『これは本物の英語に違いない』と思ってしまいますよね。むしろ普通の和製英語(例:『ワンピース』→ one piece、『コンセント』→ consent など)の方が、英語話者には全く通じなかったり、まったく別の意味になったりします。それに比べると cutsewn は構造的に理にかなっているだけに、『正しそう』に見えるという逆説的な面白さがあります」

ありがとう。これで立ち直れそうです。

過去の記事を再掲する "Throwback Friday"。

 

本日の記事は約5年前のものですが、今でも、アクセスの多い記事です。

「I-my-me-mine」ではなく、「I-me」と「my-mine」がよい、という記事です。この考え、ぜひ、広がってほしいと思います。

(↓)こちらをクリックしてください。

I - me & my - mine



 

一昨年立ち上げた英語教育の勉強会の第7回です。

◆SEED(Saidai English Education Developers)第7回例会

日時:6月6日(土)13:00〜16:30

場所:埼玉大学 教育学部A棟214教室

内容:


13:00~13:10 
開会行事 

13:10~14:30
ワークショップ「英語の授業『温故(知新)』」
青野保(元蓮田市立蓮田中学校 校長)

14:30~14:50
休憩・交流タイム

14:50~16:30
ビデオによる授業研究会 
授業者:廣田彩(川越市立川越第一小学校 教諭)
単元:6年生・My future, my dream 

参加費:無料、予約不要

申込み:https://bit.ly/saidai 

問合せ:SEED事務局 奥住桂(埼玉大) okuzumik@mail.saitama-u.ac.jp

皆様のご参加をお待ちしております!
 

4月9日に、2028年の大河ドラマが発表されました。


2028年大河ドラマ「ジョン万」 主演・山﨑賢人さん

昨年は3月3日に2027年の大河が発表されていたので、少し遅い発表でした。


2028年の主役はジョン万次郎。ご存じの方も多いと思うので、「どんな人か」はここでは触れませんが、詳しくお知りになりたい方はWikipediaをどうぞ。
ジョン万次郎

 

昨年の3月ごろには、2027年の大河がどうなるのか、いろいろ推理を巡らせていましたが、今年はあまり考えていないうちに発表になってしまいました。


*昨年も大河ドラマの記事を書いています。
2027年NHK大河ドラマは「逆賊の幕臣」

さて、今回驚いたのは、大河では珍しく、同じ時代が連続するということです。
 

2001年以降の大河を見てみると、同じ時代が続くことはほとんどありません。主役(歴史上の人物)を以下に列挙します。
 

2001年 北条時宗(鎌倉)
2002年 前田利家・まつ(戦国)
2003年 宮本武蔵(戦国~江戸)
2004年 近藤勇(幕末)
2005年 源義経(平安)
2006年 千代・山内一豊(戦国)
2007年 山本勘助(戦国)
2008年 篤姫(幕末)
2009年 直江兼続(戦国)
2010年 坂本龍馬(幕末)
2011年 江(徳川秀忠室)(戦国)
2012年 平清盛(平安)
2013年 新島八重(幕末)
2014年 黒田官兵衛(戦国)
2015年 杉文(吉田松陰の妹)(幕末)
2016年 真田信繁(幸村)(戦国)
2017年 井伊直虎(戦国)
2018年 西郷隆盛(幕末)
2019年 金栗四三・田畑政治(昭和)
2020年 明智光秀(戦国)
2021年 渋沢栄一(幕末)
2022年 北条義時(鎌倉)
2023年 徳川家康(戦国)
2024年 紫式部(平安)
2025年 蔦屋重三郎(江戸)
2026年 豊臣秀長(戦国)
2027年 小栗忠順(幕末)
2028年 ジョン万次郎(幕末)
 

「ほとんど」としたのは、戦国が続くことはありますが、戦国の中でも時代や場所が異なるため、同じ人物が2年連続で出てくることはかなり少ないです。


さらにさかのぼると下記の例もあります。いずれも戦国時代ですが、連続で時代や場所が同じになることは少ないです。
 

1987年 伊達政宗
1988年 武田信玄
1989年 春日局
1996年 豊臣秀吉
1997年 毛利元就
 

伊達政宗(1567~1638)と武田信玄(1521~1573)はどちらも戦国時代ですが、年代も場所もだいぶ離れています。春日局(1579~1643)は武田信玄没後に生まれているので、共通する人物もほとんどいません。豊臣秀吉(1537~1598)と毛利元就(1497~1571)は年代は比較的近いですが、地域が異なるので、共通人物は少ないです。


同時代の連続を避けている理由は、同じ人物を別の俳優が演じるときに、前年の印象がどうしても残ってしまうので、それを避けるためではないかと思います。


ところが、2027年の小栗忠順と2028年のジョン万次郎は全く同じ時代です。調べてみると、なんと二人とも1827年生まれです!こんなことは当然初めてでしょう。

同じ人物が両方の作品の、しかも主要人物として出てくる可能性が高いですね。特に勝海舟は、小栗忠順編では終始ライバルとして重要な位置を占めるでしょう。ジョン万次郎編でも、咸臨丸での同乗という接点があるため、登場する可能性は高いと思います。

他にも共通する人物がいるかどうか、生成AI(Claudeの無料版)に聞いてみたところ、福沢諭吉、徳川慶喜、坂本龍馬の可能性があるとのことでした。

どちらもとても楽しみですが、特に配役について注目したいですね。

 

ちなみに、ネットでちょっとした話題になっていたのですが、2023年前期の連続テレビ小説(通称「朝ドラ」)は高知が舞台で、タイトルは「らんまん」(主役は神木隆之介)。2025年前期も高知が舞台で、「あんぱん」(主役は今田美桜)。そして2028年の大河が「ジョン万」。すべて高知で、すべて「○ん○ん」になっています。偶然?いや、最後の「ジョン万」は狙った気がしますね。

先日、ある小学校6年生の英語の授業を拝見しました。

教師と児童の英語でのやり取りが非常に多く、終始英語による活発な活動が繰り広げられる授業で感銘を受けました。

そのため、児童が、英語を勉強のための「教科」として捉えているのではなく、「ことば」として捉えていることが伝わってきました。

この先生の Small Talk はいわば英語による「雑談」です。身の回りの話題を、教師が児童の理解できる語彙や表現を使いながら話すのですが、それでいて、児童は英語での会話にのめりこむように参加していました。

この日、先生が話題にされる内容は先生と児童にしかわからないもの、つまり、「内輪話」が多かったのですが、これが活発なやり取りに必要な要素なのだと強く思いました。

例えば、メインの活動では、すでにその学校から転出された4人の先生がご自身の好きなものなどを英語で教えてくたという設定のもと、その情報をもとに、4つの人物シルエットのうちどれがどの先生なのかを当てるという活動でした。

この日は私を含めて4名の外部の英語教員が授業を参観させていただきましたが、この活動で出てくる情報は、先生と児童にしかわからないものだったので、私たちには全くわかりませんでした。時々児童が大笑いをする場面もありましたが、それはきっとその転出された先生ならではの何かがあり、それを思い出してみんなで大笑いをしていたのでしょう。参観していた私たちはある意味では蚊帳の外でした。

でも、それでいいんです。

授業は参観者のためのものではないのです。その教室にいる教師と児童がわかればそれでいいのです。個人情報満載の「内輪話」です。いや、むしろそういう話のほうが盛り上がります。

こういう話題の見つけ方は、やはり児童のことを良く知っている教師でないとできません。

この活動の最後は答え合わせでしたが、どの先生の発言なのかがすぐにはわからない微妙な情報もあり、大いに盛り上がりました。見事な活動でした。

世の中で話題になっていることでも英語でのやり取りは十分できると思いますが、この日のこの授業を拝見し、「内輪話」は児童の発話を増やす要因の一つなのではないかと思いました。
 

3月25日に、学部の卒業式と大学院の修了式が行われました。

今回学部を卒業された皆さんは、2022年4月に入学され、コロナ禍の影響がまだ続いている時期でした。小学校コースの「振り分け」が実施された最後の学年であり、4月の時点では中学校コース9名でのスタートでした。

また、「現代英語」のSITCが対面で復活したのもこの年でした。コロナ禍の影響で午後のみの開催ではありましたが、それまでの2年間はオンラインでの実施でしたので、大きな一歩だったと思います。

後期になると、小学校コースから9名が英語専修に加わり、計18名となりました。

2年生になる頃からは様々な制限が緩和され、ようやくそれまでの大学生活が戻ってきました。「中等英語科指導法」などの授業も、コロナ前とほぼ同じ形で実施できたと思います。

英語教育のゼミは3年次のみの担当でしたが、実践やディスカッションが大いに盛り上がった学年でした。

さて、そんな皆さんをお送りすべく、25日を心待ちにしていたのですが、思いがけない事態が起きてしまいました。私がインフルエンザに罹患してしまい、この日は大学へ行くことを控えざるを得なくなりました。勤務先に奉職して24年目にして、初めてのことです。本当に残念でなりません。

またいつか、どこかで皆さんにお目にかかれる日を楽しみにしています。

どうぞこれからも体に気をつけて、ますますのご活躍をお祈りしています。いつでも連絡してください。