ドナルド・ホール 文、バーバラ・クーニー 絵、もきかずこ 訳、の絵本。
1ページめから、なんてホッとする絵本なの!まるで18世紀の旧きよきアメリカ。みんながアーミッシュみたいな生活をしていた頃のアメリカの暮らし…。
主人公の家族は、パパ、ママ、息子、娘の4人。この4人が、1年かけて、それぞれ自分の仕事を、自分の手を使って作り出す。それをパパが、年に一度、牛ににぐるまひかせて、街へと売りに行くのです。街へといったって、10日もかかるんですよ!
便利至上主義の現代人には、「なんでそんな不便なところに住んでるの?」以外の感想は持てないかもしれない。でもさ、ウォール街でクリックひとつでカネを右から左にうごかして、な~んも生産してないのに利ざやで稼ぐだけの連中よりも、よっぽどこの家族のほうとお友達になりたいよわたしゃ。
そしてこのパパは、手にしたお金で生活用品と、うすみどりいろのはっかキャンディを2ポンド買うのです。そしてまた10日かけて家に戻り、夕飯のあとにキャンディをみんなでひとつずつなめるのです。次の1年がやってくる。それぞれの手を動かして、自分の仕事をする。これが人間の尊厳ってものじゃないのか。
生活を、満足を、しあわせを自分の手で作り出せること。それを豊かだと思えるうちは、自分はだいじょうぶ。そう思える良本です。
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
・『はんなちゃんがめをさましたら』(酒井駒子・著)
・『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
・『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
・『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
・『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
・『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
・『ピーナッちゃんとドーナッちゃん』(つつみあれい・著)
・『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
・『サンタクロースはおばあさん』(佐野洋子・著)
・『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)
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