『逃げた女』

大好きな韓国人映画監督ホン・サンスの映画。

毎度おなじみキム・ミニ演じるガミ。ガミはこの５年間、愛する夫と、１日も離れたことがない。けれども数日間、夫が出張で留守にする。それで、女友達たちに会いに行くことに…という話。

この監督の作る映画は、いわゆるキラキラエンタメ韓国映画の文法を完全に無視していて、あらすじだけ聞いたら「で？」っていう地味～な感じなんだけど、あいかわらず古いヨーロッパ映画のようなカメラワークとＢＧＭ、女友達との静かでかわいい韓国語の会話、なんということもない場面の繰り返しのなかに、ガミの底知れなさが顔を覗かせる。

話だけ聞いてると、５年間、夫と片時も離れたことがないなんて、フツーに幸せな結婚生活？と思うんだけど、途中から、あれ？この人、ほんとにそう思ってる？っていう…いやそんなセリフはひとこともないんですよ、でもキム・ミニの、そういう奥ゆかしい演技がね、女の本心をにおわせる。

で、女友達たちに会ったあと、結局ガミは、まっすぐ家に帰ればいいのに、いったん引き返すんですよね。何がいいってひと言で言えないんだけど、あのラスト、ものすごく良かった…。ホン・サンス、この監督の映画はぜんぶ観なければ。

逃げた女（字幕版）

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