『出会い系サイトで実際に70人に会い、その人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと』

現在は高円寺・蟹ブックスで店主さんをしておられる、花田菜々子さんのエッセイ。もうタイトルで勝ち！いつか読もう読もうと思って、こないだ蟹ブックスに行ったのをきっかけに、ついに手に取ったやつ。

このアイデアおもしろい、出会う人もおもしろい。一回会っただけなのに、花田さんと自分を主人公にしたポルノ小説を送りつけてくる男とか（笑）、だいぶやべーヤツもいるんだけど、ちゃんと人間として相対してくれる人もたくさんいて、ユカリさんのコーチングのシーンなんか迫力あった。

「Xで私が見てきた世界を見せてあげたい、と思う。知らない男女が1対1で出会っても、セックスのことじゃない普通の喜びがごろごろ転がってるし、人は人にやさしくできるんだよ」ここ、すごくよかった。

花田さんがこの冒険に出ることになったのっぴきならない理由の話と、出会い系サイトで本をすすめる話が並行して進んでいくさまは、小説を読んでいるかのような楽しみもある。でも、あの件がのっぴきなってたら花田さんがこの冒険に出ることはなかったのかも、と思うと結果オーライ…いやどんな結果も、オーライにするのは自分なんだよと、生きていくことへの、言葉にしない励ましを受け取った気分。

てかこれ発売されたの2018年だから絶対偶然だけど、出会い系サイトの名前が「X」（エックス）って、一瞬、旧Twitterのことかと思ってしまった（笑）。

出会い系サイトで７０人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった１年間のこと (河出文庫)

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