末沢寧史さん・文、小林豊さん・絵の絵本。


舞台はいまから百年前、現在のイスタンブールあたり。ハリルという少年が、海の向こうに旅立った父の帰りを待っている。ハリルのおじいちゃんは、エブルという伝統的な紙職人。ある日ハリルは、外国人街で、なかむらさんちのたつきくんと出会う…というお話。


知らない言葉がたくさん出てきて、エブルってなんだろ、と思いながら読み進めると、そんな簡単にエブルにたどり着かせない。エブルに使う、バラのくき、じゅずのひも、馬のしっぽを買いに、2人の少年はバザールに出かけていく。


別の日、ようやく工房へ。工房の紹介、道具の紹介、そして制作風景を経て、できあがったエブルがこちら!思わず声が出た。これまでずっとセピア一色だった絵本に、急に色が差し込まれて…なんて綺麗なの!このページだけ紙の質感が違う…もしかして1枚1枚、この製法で作ってるのかな。なんども見て触ってにおいを嗅いでしまった。この1ページのために、この絵本、読む価値あると思う。


そしたらあとがきで、この話は作者の末沢さんが実際にイスタンブールでしたエブル体験が元になっていたのですね。エブルの工房は、エブルの材料を自分で作るところから始まる、と。たしかにそうだよな。でもこれ、ピアノとかじゃなくてよかったですね(笑)。

 

 

 
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)



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