ピーター・マキューリオ・作、レオ・エスピノーサ・絵、北丸雄二・訳の絵本。

さかのぼること20年前、ニューヨークの地下鉄で捨てられていた赤ちゃん。たまたま見つけた男性が、育てることになるっていう実話。その男性っていうのが、ゲイのカップル…なんだけど、そこはあんまり問われてないのがよかった。

サブウェイ・ベイビーは当時新聞などで大きく取り上げられ、病院でも、養護施設でも、里親を決めるときも、家に連れて帰る地下鉄のなかでも、「あ~、あの子ね!」ってなもんで、人々の目がめっちゃ好意的!養子にくるとなれば、家族や友人知人が次々と子育てに必要なものを持ってきてくれる。

20年前っていうと、アメリカでも同性婚が認められるよりはるか前。なにごとも、前例をどんどん作っちゃえば、それはいつしかフツーになっていくのであるなあ。

「Where there is love, anything is possible(愛があれば、なんだって可能)」という言葉が出てくるんだけど、この本に出てくる愛は、もちろんピーターとダニーの愛、家族や友人の愛、あとニューヨーカーたちの愛もあるでしょう。

読んだ後、ケヴィンと名付けられたその子を思わず検索してしまった。えらい立派に育っていて感動。ニューヨークが育てたのだよ、この子を。

私がニューヨークにいたとき、みんなめっちゃ忙しそうで、冷たい街かと思ったんだけど、ふだん眠ってる愛が発揮される瞬間を、実はみんな待ってるのかもしれない。

 

 


 
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)



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