やしまたろう・みつ 文・絵、マコ岩松 訳の絵本。
やしまさんが、小学生のころ、故郷の鹿児島で、学校~家までの帰り道にまいにち寄り道しまくった懐かしい思い出。やしまさんの観察による人間がとってもイキイキしているのです。
たとえば染め物屋さんが「紺さん」と呼ばれていたこと。なぜかといえば、染料のせいでいつも腕が紺色だったから。
畳屋さんの親方のひじがぶあつく、まるで足の裏のようだったこと。なぜかといえば、作業するときに、ひじでずーっと畳を押さえているから。この親方の絵の、ふくらはぎなんかパーンと張ってて、くるぶしなんかキュッとしてて、なんて肉感的なのでしょう。
その他にもいろんな人間を観察していく。村のはずれには、聾唖のおじさんが、下駄の修理をしていたり、片足をなくしたおじさんが、米をついていたり。みんなに仕事や居場所がある…。
人間だけではありません。鍛冶屋さんでは、馬の蹄鉄を作っていて、「蹄鉄をつけられたあと、どの馬も、歩きだすとみょうな顔をしていました」だって(笑)。カワイイ!
でも、ここに出てくる人たちはイキイキしながらも、顔や体に暗い影がさし、どこかぼんやりしている。
で、やしまさんのプロフィールを見たら、この人、戦前に反戦活動で弾圧され、アメリカに亡命してたんですね!ああ、帰れなかったのだな、と。この絵本に横溢する郷愁の正体を知ったような気がしたのでした。
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