『女神なのに命取られそうです。』

羽鳥紘さんのラノベ。

主人公は新米ＯＬの水瀬夏月。通勤中にネット小説を読むのが好き。ある日、駅の改札をくぐると、そこは異世界でした。そんなわけあるかーっ！！と、異世界モノを読んでいるときに一度は必ずやるあのツッコミ、しかしこのラノベでははじめの一回だけでした。

異世界転生してしまった夏月は、ウィスタリア王国でも下にも置かない女神扱い。でも、なぜ自分が？…という謎が判明してからの、国全体を揺るがす事件にどどど～っと巻き込まれていくようすにワクワク。

ご都合主義、というのはラノベの場合は褒め言葉だと思うんだけど（なぜならご都合を無視してどこに連れて行かれるかわからない純文学みたいな話をラノベ読者は求めてないと思うので）、このラノベも大きくいえばご都合主義になるんだろうけど、でも羽鳥先生の場合、緻密なストーリー、多彩なキャラ造形、伏線の配置と回収をとても丁寧に書き込むので、「そんなわけあるかーっ！」というツッコミを入れるポイントが他になかった。

なんか、ラノベだけど、キャラやストーリーを都合のいいコマのように扱ってる感じがしなかったのですよね。そういう意味でとても品のある、好感の持てる作品でした。最後のウィステリア王国のシーンなんて、圧倒されましたもの。羽鳥先生の作品、他にも読んでみようと思う。