芥川の小説のなかでも昔からか~なり好きな短編。
なんといっても雰囲気にやられた。鹿鳴館で催される天長節、少女の初めての舞踏会、絢爛豪華な宴と花火、微かな恋心、ぜんぶ明日になればもう消えてなくなってしまうような儚さが、今だけの格調高い音楽みたいに流れていって、読み終わると超贅沢な気持ちに。
そんで、その少女の32年後を描く短い第二章がまたいい。この少女、というか老婦人が、なんだかまったく成長してないみたいなんです。昔の淡い恋をずっと覚えてるのが、なんでこんなに哀れなんだろう。過去の栄華の亡霊みたいで、よい。