現実と妄想の2つの激流のなかを、おぼれながら必死でもがいているような人物がたくさんでてきます。みんな、圧倒的にどうでもいいことを、もはや祈りか儀式みたいな切実さで大事にしていて、たとえば片思いの男が発作で倒れたのを助けようとしたのに、ついそのまま寄りかかってちょっと寝ちゃったしあわせ♡みたいな、決して誰にどう弁解してもわかってもらえない絶妙なてへぺろが満載で、もう身につまされまくり。
小説にしか寄り添えない孤独があるのだなあと思った。だって、そうは言ってもこんな不器用な女が実際目の前にいたら、「ふざけんな!」ってビンタしてますよ(笑)。そんな人たちに、あんた、いちばんここに似合ってるよ、と言ってのける作者のセンスも含めて好きです。
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●隠居生活の本出てます