小林賢太郎さん作の絵本。
あるところに、自分のことがきらいな男がおりました。彼は、自分ではない何かに変わりたい、と思いながら歩いています。するとそこには見たことのない劇場が…というストーリー。
なんかイヤな予感がしたんですよ。ハートフルに励ましてくるような、読む者の自己肯定感上げようとしてくるエンディングだったらどうしよう。「いいね!」って言うしかないじゃん。
しかし私は小林さんという人をすっかり見誤っていました。だいたいページをめくっても、なんとなく不穏なんですよ。
劇場内の舞台には、カキワリのキャラクターたちが登場します。ニワトリにシーラカンスにコガネムシ。いずれも、自分ではない何かに憧れている。それぞれ、何の関連もないようでいて、最後に明かされるこの劇場の謎とは。うーん、やられた!と思いました。
絵本でしか表現できない、絶品のコントを見せられたような贅沢な気持ち。
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
・『はんなちゃんがめをさましたら』(酒井駒子・著)
・『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
・『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
・『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
・『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
・『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
・『ピーナッちゃんとドーナッちゃん』(つつみあれい・著)
・『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
・『サンタクロースはおばあさん』(佐野洋子・著)
・『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)
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