フランス人作家、エミール・シャズランの絵本。


絵柄が超カラフルでかわいい!マンガ的な線描にポップアートみたいなビビッドな色使い。これだけで読んでよかったと思うくらいでした。


タイトルのとおり、ふたりのパパに育てられている女の子、ヴィオレットの話です。まあ、先進国フランスだし、さぞ何の問題もないんだろうと思ってページをめくったら、小学校でヴィオレットはバイ菌扱い、学校の行事にもパパ二人とも参加すると奇異の目で見られるので、片方しか行かないようにしている、とか…。これ翻訳されたの2019年みたいだけど、いつの話~??


はじめのページに、E.C.という著者と思われるイニシャルで、「父」と「パパ」に謝辞が述べられているので、彼女自身の幼少期の話なのかも。家でのエピソードとかセリフがとっても具体的だったし。


結局、ヴィオレットはセシルという女の子と仲良くなるんですね。でもその理由というのが、今までパパとママがそろってるからってデカい顔してたセシルが、親の離婚によってガチ落ち込んで、それをヴィオレットが励まそうと思って家に招いたから、なんです。で、行ってみたら二人のパパはチョーやさしくていい人で…、フツーじゃん!ということがわかるんです。


うーん、だけどもしセシルの親が離婚しなかったら、いわゆる「フツーじゃない」家族をバイ菌あつかいし続けていたのかもしれないと思うと、単に「よかったね」とも言えない。マジョリティの特権にあぐらをかいた瞬間に、自分がそこから外されたときの転落が牙をむく、という感じがする。


私は特権フリーな人間でいたいなぁ。


 

 

●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)

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