ホン・サンス監督の韓国映画。『夜の浜辺でひとり』が衝撃的だったので、今回も、何を仕掛けてくるかとワクワクしながら観た。

ボンワンは、小さな出版社を経営し、評論家としても活躍。妻に浮気を疑われている。そこへ勤めることになったアルム(キム・ミニ)。なんと初日に、浮気相手と勘違いされ、ボンワンの妻にひっぱたかれ、おまけにそのあと終わったはずの浮気相手が戻ってきてここで働くというので、アルムはアホらしくなって一日で退社。それから…という話。

冒頭から、キム・ミニの美しさは言うに及ばず、古いヨーロッパ映画のような白黒・クラシック音楽・カメラワーク・長いワンカット・そして口論のシーン、ホン・サンス節が続々と。

しかしキム・ミニと、愛人役のキム・セビョク、顔の系統がめっちゃ似てませんか? 私は『夜の浜辺でひとり』の鑑賞体験から、この監督は何かをぶっ込んでくるに違いない、と構えていたので、これは髪型やメイクや服装を変えて別人のようにしているだけで、同一人物に違いない、だってプロの俳優だもんね、騙されないぞ、とか深読みしすぎて、終盤になるまでその線で観ていて、二人が同画面上に登場しても、いやいやきっとこれはCGか何かで、なんか意味があるに違いない…と思ったら、結局フツーに別の俳優が演じてる別人だった、という笑。素直に観りゃよかったよ。

アルムにとって、絶対に忘れられない災難な一日だったのに、その災難の原因になった人たちは意外と忘れていたりして、じゃあ私っていったい何? という肩すかしを、ときに人生は仕掛けてきますよね…。ちなみにタイトルの『それから』というのは、まさかと思ったけどそのまさかだった。夏目漱石の小説、あんなオサレな使い方を!!


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