スイス人作家のクロード・マルタンゲ作、フランス人イラストレーターのフィリップ・デュマ絵、ときありえ訳、の絵本。
ちょっと変わったタイトルと、ヨーロッパの古い街並みが気になって手に取った。内容は、おじいちゃんが、孫と街を散歩していて、孫がおじいちゃんに「あのひとのはなしをして」ってせがむんです。「みんなしっているじゃないか」って言っても、「またして!」って。そんなに聞きたい話って何なのか、気になるじゃないですか。
おじいちゃんは語り始めます、ドイツの旅行したときに出会った、ひとりの乞食の話を。話しながら歩く、ヨーロッパの古い街並みが、まあなんとも美しい。べつに、たぶん、観光地として整備されてるってわけじゃない、ふつうの市民の散歩コース。おそらく、長い時代をかけて培ってきた、ヨーロッパ人の美的感覚が根付いてる景色、なんだと思う。
やがて「ゆきの したの なまえ」がどんな意味なのか、あきらかに…なってんのかこれ?なんだか、謎かけのようなおじいちゃんのひみつ。それは、「わたしがおじいさんになってはじめて、わかったこと」らしく、「おじいさんにならないおまえに、わかるかどうか」というものらしい。
孫が、こういうことでしょ、って言うんだけど、そしておじいちゃんは「そうだね」って言うんだけど、これ絶対子どもを煙に巻いてると思う(笑)。だってわたしにもそのひみつの理由、2回読んでもいまいちわからなかったから。
でもさ、なんか、いいよね、このおじいちゃん。ゆきのしたにはいろいろあることがわかってて、それをむりやりほじくり出そうとしないおじいちゃん。
ところで原題の『LE MENDIANT』、フランス語で「乞食」っていう意味らしい。おお、翻訳者の、なんと詩的で優しい訳だろう。
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
・『はんなちゃんがめをさましたら』(酒井駒子・著)
・『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
・『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
・『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
・『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
・『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
・『ピーナッちゃんとドーナッちゃん』(つつみあれい・著)
・『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
・『サンタクロースはおばあさん』(佐野洋子・著)
・『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)
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