2020年のカンボジア映画…かと思ったらオーストラリア映画だった。オーストラリア人のロッド・ラスジェン監督が、長年取材を続けている東南アジアの奴隷労働をテーマに映画化したもの。

主人公はカンボジア人の少年・チャクラ。兄だけが学校に行けて、自分は来る日も来る日も農業の手伝いだけ。実家の手伝いであるからして、給料ももらえない。そんなあるとき、チャクラは知り合いから、タイでの仕事を斡旋するブローカーの話を聞く。

はじめこそ、カンボジアの田舎のどか~、子ども達かわいい~、クメール語もかわいい~、とか思ってたらどんどん不穏な方向へ。結局、チャクラはタイの漁船に売り飛ばされ、船から一度も降ろしてもらえず、朝から晩まで働かせられ続ける。少しでも反抗したり、体調を崩して使えなくなった奴は、ボコボコにされた上で海に捨てられる。だんだん、人間性を失っていくチャクラ…。

あれ?なんか私が予想してたほうには全然いかないよ。いつ、この船の仲間達が一致団結して、船長を袋叩きにして解放されるんですか?

ラストも予想を裏切られた。あれは、ほっとしたからなのか、それとも自分には故郷に帰る資格がないという慚愧なのか。

…と~っても気が滅入る映画だった。現実は、そんなお仕着せのハッピーエンドじゃない。外国人労働者のブローカー問題って、日本だけじゃないんだな。ああして海の藻屑となった人々は、きっとこれからも、誰にも知られることはないのだろうな。だったら、まだ外国人労働問題の実態を、メディアとか裁判で取り上げられる日本のほうが、改善への希望はあるのかも…。

エンディングのテロップによると、今も東南アジアでは、20万人が奴隷労働をさせられていて、水産業は60億ドルの利益を生んでいるという。そんな魚食べたくないよ!!

いやしかし、これシステムの問題。借金負わせて奴隷にするみたいなやり方を、なんで政府は許してんの? いや日本の政府もだけど、外国の政府も何やってんの? こういう強制労働で獲れた魚の一部は、きっと日本にも輸入されてきていることでしょう。だから個人でとりあえずできることって、やっぱり、誰がどう生産したのかハッキリわかる商品を買うことにつきるなぁ。ハァ、微力すぎる…。でもやらないよりマシ。

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