ずっと観たかった韓国映画。2020年公開。

舞台は1994年のソウル。主人公の女子中学生ウニは、学校では周囲とうまくやっていけず、家庭では過度な長兄主義&学力至上主義に押しつぶされている兄からの虐待を受け、親に言っても取り合ってもらえない。

兄からの虐待を受けているのはどうやらウニだけではなさそうな描写、そして過度な長兄主義&学力主義に押しつぶされているのは兄だけではなさそうな出来事…。ウニの万引きが見つかっても迎えにも来ない、家では両親がケンカ、彼氏や友達は1人ずつ去って行く。そして耳の下の病気。ひとつひとつのストーリーは珍しくもないんだけど、でも少しずつウニの、生きていく気力を削り取る。ままならないことばかりのこの世界で、どうやって希望を持って生きていけばいいのか。

そんななか唯一、ウニが心を許せる人が漢文塾のヨンジ先生。つらいときに、ただ一緒にお茶を飲んだり、一緒に帰ったりしてくれることが、ウニを励ますともなく励ます。が、ヨンジ先生も、どうやら訳ありみたい。

つらい現実と強烈なコントラストをなすのが、光のやわらかさとか、音楽の美しさ。ヨンジ先生とともに、監督の、ウニを見つめるまなざしのやさしさを表しているかのようで、それがこの映画を絶望から救ってると思った。それぞれのつらさを切り捨てないところにも好感。ああ、1994年当時にリアルタイムではこういう描き方はできなかったのだろうな。いろいろあったあと、最後にちょっとだけ、ウニの家庭内の会話が思いやりを取り戻したような気がするところもよかった。

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