斎藤隆介・作、まつやまふみお・絵の絵本。


うさぎが居眠りしてるうちにかめに追い越されて負けて…あれ?「うさぎとかめ」の話だっけ?と、表紙を確認してしまった。ここはただの導入部分。まけたうさぎの、その後のお話なのでした。


うさぎ村に戻ってからがひどい。みんなが口々に言うんです。

「うさぎのめいよをきずつけた」

「うさぎのかざかみにもおけん」

「あんなやつ、村八分にしちまえ」

「あんなやつとはつきあうな」

こわ!まけうさぎ超かわいそうなんですけど!


と、そんなおり、オオカミからうさぎ村へ手紙がとどくのです。うまれたてのこうさぎを3匹よこせ、と。さもなくば、全員食っちまうぞ、と。まけうさぎは、オオカミを倒すため、岩山を駆け上る…。


ぜんぜん共感できない(笑)。仲間はずれにされたのに、助けようと思えるかなぁ。そこまでして認めてもらいたいと思うのはなぜ?どうでもよくない?


まけうさぎを突き動かすのは愛や勇気というより、もう絶対仲間はずれにされたくないっていう不安や恐怖に近いものを感じた。そんで、オオカミを倒したとしても、それはハッピーエンドなのだろうか。あのうさぎたちが変わらなければ、また誰かが村八分になって、つらい思いをするんじゃないの? 私がこの絵本を書くなら、そこらへんの不穏な問題提起を結末にすると思う。


どういう気持ちで子どもたちに読み聞かせればいいのかわからん、という気持ちになり、たいへんおもしろかった。


 

 


 
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)


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