大好きな綾戸智絵さんの自伝エッセイ。


活字が頭に入ってこない…というとき、話してるような文章ならスルスルと読めることがある。綾戸さんの文章って、書き言葉っていうより話し言葉そのまんま。そして綾戸さんのトークも何度も聞いてる。だからイチから声を立ち上げる作業が要らなくて、直接聞こえてくる感じがするからラクに読める…のかな。


16歳でジャズクラブで弾き語り、17歳で単身渡米、結婚・出産・離婚・帰国、そしてがんとの闘病を経て39歳でデビュー。なんというか、物事に対する反応のしかたが、野生の動物のそれを思わせる。アメリカで危険な目に遭ったとき、どう機転を利かせてくぐり抜けてきたか。こんなの、親が聞いたら卒倒するね(笑)。しかし綾戸さんのご母堂も、元進駐軍の通訳、その後は相場師という、なかなか一筋縄ではいかない人物で、もう綾戸家全員がおもしろすぎた。


で、私がいちばんおもしろかったのは、妊娠中に滞在していた夫の実家があるサバンナジョージアでの日々。きつい南部なまりを使いこなし、昼をオクラを摘みにいき、夜は食卓で親戚といっしょにオンステージ。綾戸さんいわく、「本を読んでも映画を見てもわからない、最後のにおいみたいなもの」。ああ、これがあるから、歌に説得力が増すんだよなあ。


そしてあとがきは、家族でニューヨークへ出発する空港にて。その日付は「2001年9月11日」。おおぅ…。なぜか人生がドラマチックになってしまう人の宿命を見た気がする。続編、書いてほしいなぁ。

 

 

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