私の大好きなレネー・ゼルウェガー主演、ジュディ・ガーランド最後のロンドン公演を描く伝記ミュージカル。


ミュージカルといっても、はじめの40分ぐらい一切歌わない。というか歌えないというか、むしろステージに立つことへの恐怖や不安、過酷な子ども時代のトラウマと不眠症、そして息子と娘をかかえて住む家がないという散々な私生活を延々描く。するとアメリカで落ちぶれていたジュディに、ロンドンからオファーが届く。しかしこんな状態で子どもを置いて仕事に出かけたら、元夫に親権を奪われてしまう。


しかしジュディは決心し、一路ロンドンへ。公演初日の絶唱よ!おお、ここから一気に羽ばたくのね!!と思わせてからの楽屋での落ち込み…。そんなだから、いつ崩壊するのかとヒヤヒヤする精神的ギリギリパフォーマンス、すごかった。


そんななか、熱心なイギリス人ファンのゲイカップルと出会い、「64年のショーは見られなかったんだ」といわれるあたりに、同性愛が違法とされていた当時の現実が混じり込み、最後にズドンと『虹の彼方に』。この文脈で聴かされちゃあ号泣必死…。


しかし最後の一歩前のシーンは複雑な心境に。フツーの女の子に憧れていたジュディ、せっかくそのチャンスが来たのに、やっぱり断っていきいきとステージに舞い戻る姿は…。


だって数々の虐待を暗示させる子ども時代の回想、あんなことはもう絶対にあってはいけないけれど、それでもジュディが存在意義を感じていた場所がステージで、それを求めたのは私たち。だけど多くの人々が勇気づけられたのも事実で、一人の女の子があんな場所に存在意義を感じなくて済んだのなら、そのほうがよかったのかもしれない、だけどあのキラキラと輝く姿は…? とぐるぐるして、どういう気持ちになればいいのかわからなかった。



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