尾添椿さんのコミックエッセイ。


タイトルの通り、尾添さんが自分の親は毒親であると気づき、家を飛び出し、分籍と閲覧制限をかけて完全に虐待から逃げ切るまでを描いた話。毒親や虐待モノは最近たくさん描かれるようになってきたけど、このコミックエッセイが他と一線を隠すのは、分籍と閲覧制限という制度的手段を、実体験をもとに詳しく詳しく解説しているところ。これ、知らない人は多いんではないかと思う。毒親だけではなくストーカーやDVの被害者が逃げるのにも応用できて画期的。こういうことこそ、学校で教えたらいいのに。


はじめは、あれ?こういうことってどこの家庭にもあるものかな?という、親に対する違和感から。だんだん、子どもが嫌がることを喜んでやる、体調を崩しても放置、通院・進学・就職(つまり外の世界につながること)を妨害…。だけど尾添さんがすごいのは、「うちの親はヤバい」と早い段階で気がつけたこと。自分ちのことって、どんなにヤバくてもまずヤバいと気づけない。そしてさらに尾添さんがすごいのは、親にガチで抗議・反撃を試みるところ!(ま、親の方が圧倒的に強いんだけど。毒親は一人では立ち向かえない…)尾添さんはこの反逆心と、理解のある仲間たちの力を借りて、めでたく親と絶縁することができたのです。


心理士さんとの対話のシーンなんて涙が出る。ほんとに、助けてくれる人たちに出会えてよかった…でもいま現在、助けてくれる人に出会えていない人たちもたくさんいるのよな…と思うとゾッとする。と同時に、本でもSNSでもYouTubeでもとにかく発信して、一人でも多くの当事者に「虐待から逃げることはできる」というメッセージが届くチャンスをこの社会に増やしてきてくれた人たちがいることに、希望を見いだしてもいる。これはもはや壮大な社会事業だ。

 

 

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