アメリカで、いや世界で初めて同性愛を公言して当選した政治家、ハーヴェイ・ミルクのドキュメンタリー映画。昔、ショーン・ペン主演の映画は観たことがあったけど、ドキュメンタリーははじめて。


ミルクはゲイだけど、ゲイだけでなくすべてのマイノリティ(中国系、黒人、女性、老人、障がい者など)の声をすくい上げようとしていたことに希望を見いだした人たちは少なくなかったでしょうね。


ミルクがサンフランシスコの市政委員に当選したのは1977年。射殺されたのは翌年1978年。ふつうに考えて、ホモフォビアの犯行かと思いきや、ただの政敵による逆恨み?が原因というのが意外だった。


犯人のダン・ホワイトは、白人男性つまりマジョリティ・オブ・マジョリティ。殺人は絶対許されないが、「模範的、仕事熱心、家庭的な人で、あんなことをするなんて信じられない」という彼の支持者のコメントや、「プレッシャーを感じていた、仕事や金銭問題もあり、家族との時間もなかった」という、パブリックイメージと全く違う本人の内面吐露から見えてくる、「完璧な市民の息子」を演じることから降ろさせてもらえないマジョリティの圧力に苦しめられる一人の人間に若干同情も…。


いちおう有罪で5年半の懲役刑にはなったけど、判決に不満を感じた市民が暴徒化する。「もし犯人がゲイや黒人だったら、こんな軽い刑で済んだか!」と。ちょっと待って、ごく最近も同じ事があったよな…。けれどもミルクが殺されたとき、キャンドルを灯して静かに街を歩く人々を見て、人類やればできるじゃんとも思ったのですよね。暴力によらない表現でも世界中に雄弁に訴えかけることも本当はできるのだと命をかけて証明した。ミルクを語るとき、それを忘れないようにしたい。

 

 


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