バットマンの悪役・ジョーカーの誕生にスポットを当てる映画。


主人公フレックは、クラウン(ピエロ)の仕事をしている。コメディアンを目指しているが、とつぜん笑っちゃう脳神経の病気があり、笑ってはいけない時に限って笑いがとまらない。


もうオープニングからしてどん底感満載、なのにどこか陽気なBGM。ゴッサムシティはいつも陰鬱で、暗いニュースばかり。すぐ隣にある富裕層の生活、明確に打ち出される社会格差問題…。そして脳神経の病気の真実を知ったフレックが、爆笑しながら泣くんですよ。ほんとは泣きたいのに笑っちゃうんですよ。ここは本当に…この映画の白眉と思う。


そんな笑えない場面で流れるのはチャップリンの『Smile』。なんて残酷な選曲だ…。人生は、クローズアップで見れば悲劇だが、ロングショットで見れば喜劇、というチャップリンの名言がよぎったかは知らないが、そうだこれは喜劇なのだ、だったらとことん笑わせてやろうじゃないか、と思ったフレックは…。いやもう誰が彼を責められますか!?


一人の男がなぜ悪役にならなければいけなかったのか。のっぴきならないその理由を描くために、一本の映画が作られるということは、表面に出てきた悪を叩けばハイ解決、という単純な勧善懲悪で済ませられる時代はもう終わったのですね。この映画が多くの人に受け入れられたことが、社会の成熟のはじまりだと思いたい。

 

 

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