スギヤマカナヨ・作、畠山重篤・監修の科学絵本。


今年は、海のゴミ拾いをはじめたのをきっかけに、科学絵本というジャンルをよく手に取るようになった。こちらはタイトルに「山」とあるけど、山に木を植えることがどういうことにつながっているのかを追いかける絵本です。


山に木を植えたら、その木が成長し、実をつけ、木の実はさまざまな動物のいのちをつなぎ、動物たちはフンをし、落ち葉や枯れ葉と混ざって腐葉土になり…。やがて海へとたどりつく。そしてまた雨雲になって山に帰って、以下永遠に繰り返し。


この循環のなかから、人間だけに都合のいいところだけを取り出したのが現代社会という感じがする。人間だけがキレイな場所で人間だけがキレイなもん食べて人間だけがキレイになっていく、っていうのがどんだけ不自然なことか。


だってさ、この絵本によると、山の腐葉土を雨が通過すると、土のなかで「フルボ酸」と「鉄」が合体して「フルボ酸鉄」になるんですよ。で、そのまんまフルボ酸鉄は放置されます(笑)。あのフルボ酸鉄は何だったんだろう…と忘れかけたころに、まさか山で生まれたフルボ酸鉄が、こんなところで必要不可欠な存在だったなんて!!ということがわかる。


このフルボ酸鉄は、大きな循環のなかで見ていかないと意味がわからないものすべての象徴だと思った。たぶん、森を切り崩してソーラーパネルを設置するみたいなのは、今だけそこだけ人間だけ、という考えにならないとできないんじゃないかなー。


みんな、いのちを自分だけで完結させることはできないのだし、そういうふうに世界ができていることの意味を考え続けていこうっと。


 

 


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●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)




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