朝井リョウさんのデビュー作で、第22回小説すばる新人賞受賞作。


朝井さんの小説、はじめて、そしてようやく、読みました。というのも、もちろんお名前とその活躍は存じ上げてましたが、若くしてデビューして売れっ子で直木賞もとってバンバン映画化されてる…というので、「フンっ」とか思っていままで敬遠してたのでした。そしたらこないだ週刊文春上で私の本を紹介してくだすってるじゃないですか!!超反省して即本屋へ。とりあえずデビュー作と最新刊を購入。


でさ~、読んだらやっぱりおもしろくて。高校生たちの群像劇なんだけど、ある人は部活内での昇格に、ある人は失恋に、ある人は片想いに、ある人は家庭の問題に、ある人は他の子みたいに熱中するものがないという劣等感にそれぞれ思い悩んで。学校と家庭が世界のすべてだったころ、他のどの世代よりも可能性も残された時間も多いはずなのに切羽詰まっちゃうあの感じが、ページをめくるたびに私の心をぶち抜きまくり。あ~そうだったそうだった、つらくてもアウトカーストでいることなんて許されないんだよな~と身もだえしながら読んだ。


最後の菊池くんなんて、スクールカースト上位なのに、下位の映画部の子たちがまぶしくて、「ひかりが振り返って、俺を照らした」とか思うんだけど、いやいや君もその光のなかにいるんだよ~と、30代のおっさんは目が潰れそうにまぶしかったのだよ。もうここに出てくるみんな、ほんとに幸せになってほしい! …でも、そんな大人の安易な励ましにも、きっとそれぞれ心のなかで抵抗するだろう、この頭のいい子たちは、という感じもして、それがますます好感だった。


大人になると忘れてしまう、絶対に戻りたくない青春時代の、解像度を一瞬の単位まで高くした小説を、デビュー作で書いてのけるとは。あ~斜にかまえずにもっと早く読んどきゃよかったよ。次は最新刊『正欲』を読むぞ、超楽しみ!

 

 



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