『クレイジー・リッチ！』

ケビン・クワンの原作小説『CRAZY RICH ASIANS!』の映画化。ハリウッド映画なのに主要キャストが全員アジア人、しかも全世界で大ヒットということで、公開当時たいへんな話題だったのを覚えてる。だったればこそ、なぜ邦題から『ASIANS」を外したのかが謎。

主人公はNY大学で経済学の教授をしているレイチェル（中国系アメリカ人）。ある日、ボーイフレンドのニック（中国系シンガポール人）から、故郷で親友の結婚式があるから出席してくれないかと頼まれて、行ってみたらニックの家がシンガポール屈指の大富豪で…というストーリー。

もう冒頭からビッグバンドに中国語の歌が乗ったり、ロンドンのホテルがアジア系富豪に買い取られたり、ニックの恋路がSNSで一瞬で世界中の中国系コミュニティに拡散されたり、あとセットがとにかく豪華。なんじゃこの景気のいい世界は！

「アメリカ人は自分の幸せばかり。幸せは幻想よ。我々は長く続くものを築くの」という台詞に集約される、歴史の薄いアメリカの個人主義的価値観と中国の伝統的な家族文化の狭間にある悩みなど、「アメリカ系アメリカ人」にはわからない、でもたしかに存在する移民たちの悩み…。ハリウッド映画でこれがテーマになるのは、私が憶えてるので『ジョイラッククラブ』以来でしょうか。

とはいえキャラクター造形もストーリーも緻密で完璧に大衆型エンターテインメントだし、なにしろ主役のヘンリー・ゴールディングのスパダリ感にやられました。超おもしろかった！

あと私がいちばん好きなのは麻雀のシーン。私はルールがわからないんだけど、形とか色とかしぐさ、雰囲気が好き。ずっと見ていたい。