2014年制作の台湾映画。


舞台は1969年、中国共産党と国民党による内戦が継続中の金門島。主人公のルオ・バオタイは最前線の海龍蛙兵に所属するが、カナヅチというのがバレて特約茶室を管理する831部隊に飛ばされます。この特約茶室というのが、要するに軍隊の慰安所。通称「軍中楽園」。そこにさまざまな事情で来ている娼婦たち。内戦で大陸の故郷に帰れなくなった娘、懲役の減刑のために志願した母親。で、もちろん軍人と娼婦のあいだに繰り広げられる、惚れた腫れたと悲喜こもごも。


台湾人といってもいろいろなんですよね。上官と娼婦アジャオ、この二人はどうやら大陸出身。大陸出身者から大陸出身者にぶつけられる、「大陸から来た人間は、一生戻れないのよ!」という叫びのやるせなさよ…。このあたり、台湾の歴史を知らないと意味がわからないかもしれないですね。


主人公のルオ・バオタイが娼婦ニイニイと、夜間外出禁止令を破って、年に一度しか咲かない月下美人を見にいくところなんかよかった。とちゅうで廟を横切るときに素早くお参りするんだけど、たぶんふたりが願ったのは違うことなんでしょう。


1951年に作られた軍中楽園は、1990年に兵力削減と、人権無視の批判をうけ中止されたそうです。1990年といったら、もし当時20歳だったとしたら、現在50代か。まだまだ最近のことだ。歴史の中で踏みつけにされてきた人々の声をすくいあげた、貴重な映画だと思う。



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