『愛がなんだ』

今泉力也監督の…、これ恋愛映画？

主人公のテルコは、守にいいように利用されているアホ女。仕事中もプライベートもつねに守優先！24時間体制で、呼ばれれば即駆けつける！仕事もブッチして守と動物園にいっちゃうし、結果職場をクビになっても、「まもちゃんと一緒にいられる時間が増えたんだからいいの！」ってかなり強めの執着型恋愛…かと思いきや、とちゅうからどうも様子がおかしい。

「私は、まもちゃんになりたいの！」とか言い始めて、ん？それはどういうあれですか？？

テルコの友人・葉子と、葉子にいいように利用されてる家臣系男子・仲原もいいし、中目黒系の自由なファンキーねえちゃん・すみれを演じる江口のりこも素敵！みんなで河口湖の別荘に行くシーンなんて、ものすごい別人種が交わり合ったときの化学反応すごい(笑)。

しかしこのテルコ、自分のやりたいこととか好きなこととか何にもない。その何にもなさを、無意識に他人で埋めようとするさまは、不思議ちゃんというか不気味ちゃんというか、もはやホラーちゃん。

「どうしてだろう、私はいまだに田中守ではない…」からの衝撃の結末。怖いっつーの！だけどダメ男にハマるアホ女、なんていう単純な回収をさせないところ、すごくよかった。

それにしても、ちょっと想像を超えるよさだった。私は日本語が母国語だから、演技っぽいセリフってすぐにわかって、観るのがイヤになっちゃうんだけど、この映画はそれが一瞬もなかった。長回しのワンカットシーンの連続、これは相当演技力ないとできない。主役の岸井ゆきのさんと成田凌さん、久々に注目したい俳優を発見してうれしい！