アメリカの絵本作家・M.B.ゴフスタイン絵、谷川俊太郎さん訳の絵本。


ひとりのおばあちゃんが、90年前、子どもだったときに父が作ってくれたはこぶねの思い出を語る。


一読して、ふーん、と思っただけで、でもなんとなく気になってもっかい読んだ。


ミニマムな線描画で、とっても清潔感があって…。これ英語の原題が『MY NOAH'S ARK』、わたしのノアの箱舟。ははぁ、あの有名な旧約聖書のモチーフですな。


それでわかったのが、アメリカの敬虔なキリスト教徒の、独特の清潔感。性善説、そしてよい人生というものを信じて疑わない、すっきりした無欲さがこの絵本にはある。そうじゃなかったら、90年もの長い間、舟のおもちゃを大切になんかしてないと思う。心洗われるね。


しかし私が長生きして、90年も手元に置いておきたいものって、何かあるだろうか。ファストファッション、ファストフード、そしてファストトイのこの現代社会で、ふと立ち止まりたくなる絵本。

 

 


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●面白かった絵本(隠居の本棚より)
 
 
『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
 
『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
 
『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
 
『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
 
『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
 
 
『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
 
 
『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)


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