ビートたけしさんが、子供の頃の思い出を語った本。たぶん十数年ぶりに再読。
戦後すぐの下町って、ろくでもないやつだらけだったんだなぁ…(笑)。子どもに人権なんてものはなく、街でも学校でも歴然と差別があり、思い出すことなんて全部情けない、悔しい、やんなっちゃうことばかり。
なのに何だろう、それでも世界は行ってみたい場所や、やってみたいことで溢れていて、たけし少年が世界に恋してる感じがじんじん伝わってくる。
好きなエピソードがたくさんある。
江ノ島から帰る電車内で、外人がたけし少年に席を譲ってくれたとき、親父が突然その外人に土下座してて、外人って神様だったんだ、と思ったこと。
ペンキ職人の親父が、仕事の前にペンキの色を確認するため自宅の門に塗るもんだから、いつも門の色が違ってたこと。
飲み屋に酔った親父を迎えに行くと、大学に上がった長男の自慢話をしたくて、必ずたけし少年に「兄ちゃんどうした?」って聞いてきたこと。
読み書きを習わなかった親父が死んだあと、タンスの中から自分の名前を書いて練習した紙が出てきたこと。
あれ?ぜんぶたけしさんの親父の話だな。だってこの親父さんが、アホで情けなくて、もう笑っちゃうんだよね。ほんとろくでもないけど、この人、周りからけっこう愛されてたんじゃないかなーと思う。
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