アメリカの作家、ニック・ドルナソのグラフィックノベル。

いつかTBSラジオでカラテカ矢部太郎さんが紹介してて、めっちゃ読みたいと思っていた。

ある若い女性(サブリナ)の失踪を機に、その友人家族や、アメリカ全体が、静かに何かに巻き込まれていき…という話。

はじめてグラフィックノベルって読んだけど、現代社会の病理とか、人間の心理とかをあぶり出すところ、たしかに文学的かも…。

絵柄がまたすっごい単純な線描写で、情報量が抑えられてるのもよかった。空白にいろんなものがしーんと満ちているような、イヤ〜な不気味さ。

そして登場人物が、ものすごいフツー。特別なパワーとかまったくない市井の人々。だからこそ自分もこうなるかもしれないんだな…この社会では被害者として消費されながら加害に加担もできてしまう…とゾッとした。

陰謀論ってこういうふうに出来上がるのか…と興味深かったし、グラフィックノベルならでは?の、独特な夢の表現、ビデオチャットの描写とかおもしろかった。

 

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●おもしろかった漫画(隠居の本棚より)
 
 
 
『誰でもないところからの眺め』 いがらしみきお・著
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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