赤川次郎さんの、日常系ファンタジー長編。

バス事故で湖の底に転落し、死んだはずの人々から、「今夜午前0時、実ヶ原バスターミナルで会おう」というメッセージが、遺された人たちへ届く。彼らは一路、バスターミナルを目指すが…。

というストーリーを中心に、恋や不倫やヤクザの闘争まで、様々なサブストーリーが展開しては、みごとに収束してゆく。問題ってすべてこんなにサッパリ解決していいのか…!解決しない問題を抱えたまま生きてゆく純文学に慣れ親しんだ私には、赤川次郎さんの小説がいま大変新鮮なのです。

軽くて読みやすくて、それでいて、生きているということが嬉しくなる、生きたくなるエンディング。うーんやっぱり面白いな〜赤川文学。

ところで解説で、芥川賞作家の三木卓さんが、「引き揚げ者の家系のものは作家が多い」と書いていた。赤川次郎さんはもちろん、日野啓三、五木寛之、安部公房、森瑤子、まだまだたくさん。私の好きな作家で言うと、佐野洋子さんや瀬戸内寂聴さんも、そうですねぇ。

実はうちも引き揚げ者の家系なんですよね。そしていま私も、ジャンルは違うが出版界の末席に。不思議な符号…。