多和田葉子さんの長編ディストピア小説。

大災厄に見舞われたあと、鎖国してしまった近未来の日本。いつまでも死なない老人たちと逆に、なぜか子どもたちは生まれたときから虚弱体質。そんななか、特別にえらばれた子どもだけが、「献灯使」として海外に派遣されることになる…。

ストーリーが面白いというよりも、そうなってたかもしれない日本のディテールが読んでいてすさまじい。

現在のような文脈では使われなくなっていく言葉たち。「突然変異」は「環境同化」に、「孤児」は「独立児童」に。「後期高齢者」は「若い老人」に。

あと外国語が禁止なので、「ジャーマンブレッド」は「讃岐パン」に…って、なんでブレッドがダメでパンはいいの!? っていう、政府のドヤ顔のバカっぽさも完全再現。

英語を知らない世代が、いつしか「made in 〜」をローマ字読みして「〜まで」という表現が生まれたりとかね。

これ翻訳するの超たいへんだと思うんだけど、英訳版がまさかの全米図書賞を受賞。どう訳されてんの!?読み比べたい…!!
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