小松左京さんのSF短編集。

「そんなアホな」みたいな設定の奇想天外な話がたくさん出てきて、私は基本的にSF向きじゃないなーと思ったけど、表題作の『地球になった男』はおもしろかった!

あるとき、好きなときに好きなものに変身できる能力が身についた男。安月給を稼ぎに毎朝妻に叩き起こされて会社に行くだけの毎日の鬱憤をはらすように、いろんなものに変身します。

でっかいウンコやチンコやマンコ(←ほんとですからね!)に変身して地球を滅ぼそうとするところなどに、平凡な男の悲哀と怒りとあほらしさが…。とくにでっかいチンコにアメリカ軍が攻撃して、そしたらそれが刺激になって膨張しちゃうところとか爆笑。

でも……全能感ってそんなに気持ちいいものなのかなー?たまたまこの人はチンコに変身したけど、こういう平凡な人こそ一歩間違えばヒトラーみたいになるんじゃ…。つまり誰でもそういう、小さなヒトラーみたいなものを心のどこかに眠らせてるんじゃ…。

私は、「私は絶対にあんなふうにならないから大丈夫」とか思わないようにしようと思う。