室井佑月さんの短編集。

文化放送でやってる『大竹まことのゴールデンラジオ』が好きで、室井さんレギュラーアシスタントで出てるんですよね。頭よくてユーモアがあって明るくて、そしておかしいと思うことはおかしいと、いつまでもブーブー文句をいいまくる、そんな室井さんが好きです。

で、小説も書かれてるんだ〜と知り、読んでみた。

タイトルとご本人の経歴からして、シングルペアレントがたくさん出てくる感じかなーと思ったら、そうでもなくて、どちらかというと「貧困」や「底辺」というテーマに貫かれている。だからシングルペアレントでも、一人で会社を興して港区のタワマンに住んで子どもの幼稚園は有名私立です!みたいな人は一切出てこない。

私は、貧しくても明るくおもしろく生き抜こうとする、『ママの神様』と『小さなダイヤモンド、ふたつ』の主人公に好感を持ちました。

でも、これらの主人公と、一人で子育てをする生活苦から自殺まで思い詰めてしまう『money』の主人公と、経済的な状況ってたいして変わらないんですよね。じゃあ何が違うのか。

前者はまだ、希望やつながりがあるから前を向けるけど、ないからといってそれがぜんぶ本人たちの責任とも思えない。ちゃんと働いてるのにお金がなくてやっていけない社会なら、やっぱ社会のほうがおかしいと思うなぁ。