鶴見俊輔さんと佐々木マキさんの絵本。
鶴見俊輔さんという哲学者は知らなかったんだけど、1922年の戦前生まれで、15歳で単身渡米。途中で戦争が始まり、当局に拘束されながらもハーバード大を卒業。戦時交換船で帰国し、英語力を買われて通訳として従軍。胸部カリエスにかかり、命からがら復員。終戦後の日本にいても、なんだか外人のよう…。
と、ほんの20代までのできごとを綴っただけで、この貴重な経験の数々。
「外人」という言葉は、鶴見さんの若い頃と比べたらずいぶんカジュアルに、そして身近になった。私は運良く、と言っていいのか、これまでの人生で何度も「外人」になる機会に恵まれた。
日本から出たことない日本人だったとき、「外人」っていうのはもっと簡単だった。今はよくわからない。
「外人」って何?じゃあ「外人じゃない」ってどういう状態?よく考えたら日本に日本人として住んでいたって、まるで外人のような疎外感、超あったじゃん。(←ここに、タイトルを「外国人」としなかった鶴見さんの意図が感じられますね)
アイデンティティがぐらぐらしてくる鶴見さんの文章と、佐々木マキさんのポップで不安な絵、すごくよかった。
![]() | わたしが外人だったころ (たくさんのふしぎ傑作集) 1,430円 Amazon |
・・・・・・・・・・・・・・
●面白かった絵本(隠居の本棚より)
・『はんなちゃんがめをさましたら』(酒井駒子・著)
・『ちいさなねこ』(石井桃子、横内じょう・著)
・『Professor Crocodile』(Giovanna Zoboli・著, Mariachiara Di Giorgio・イラスト)
・『ぶす』(内田麟太郎、長谷川義史・著)
・『よあけまで』(曹 文軒・著, 和歌山 静子・イラスト)
・『ちいさいおうち』(バージニア・リー・バートン・著)
・『ピーナッちゃんとドーナッちゃん』(つつみあれい・著)
・『ぼくがラーメンたべてるとき』(長谷川義史・著)
・『サンタクロースはおばあさん』(佐野洋子・著)
・『どこいったん』(ジョン・クラッセン・著、長谷川義史・訳)
・・・・・・・・・・・・
●文庫出ました