ときどき読み返す、サリンジャーの小説。

頭はいいのに不器用で、うまく立ち回れなくて人生を転がり落ちていくホールデン、17才。

けれどホールデンの視点から世界を見てみれば、いろんなことをなかったことにして生きていくことこそ異常なのでは?と思えてくる。

誰かに気安く幸運を祈られたり、壁に'f*ck you' の落書きを見つけてしまったり、誰か大切な人に'please'なんて言われたりするとき、自分以外の誰にもわからないだろうけど、なんかちょっとだけ傷つくような、そういうことってあるし、あってもいいんだと。

サリンジャーが書いてくれなかったら、どうしていいかわからなかったアメリカの人生ってたくさんあったんじゃないかなあ。

ホールデンの妹のフィービーや、弟のアリーが、ほんとに毎回、天才的にかわいい。