「グループの人気者だった、
坂本九、石川進の相次ぐ独立後、
あらたに16歳の九重佑三子が加入、
その初々しくのびやかな歌声を
フィーチャーした
「シェリー」(63年2月発売)が大ヒット、
以後ヒット曲を量産し、
人気グループとしての地位を
不動のものとしていたパラキンの、
63年(九重佑三子在籍時)発売の
シングル盤で構成された
ベスト盤(63年12月発売)。

この時のメンバーは
ジャケット上部前列左から
上野保夫(G,Vo)、佐野修(Vo)、
九重佑三子(Vo)、増田多夢(Vo)、
同後列左から石田智(B)、
ダニー飯田(スチールギター)、
ジョージ大塚(Dr)。

この年もパラキンは
ハイペースでシングルをリリースしており、
2月の「シェリー/ブルージンのヴィーナス」から
9月の「悲しきカンガルー/サーフ・シティ」
までの間に出された
7枚(うち佐野修のソロ1枚)のうち、
「恋のやせがまん」
「レッツゴー・ステディ・アゲン」
佐野修のソロ「ワン・ラスト・キス」
(シングル発売時のタイトルは
「キッスでまたね」)
の3枚のB面曲が割愛され、
九重佑三子のソロナンバー
「悪いのはあなた」を新たに加えた
全12曲が収録されている。

九重佑三子のソロはいうまでもなく、
デュエット曲
「ミスター・ベースマン」(+佐野修)、
「ヘイ・ポーラ」(+増田多夢)、
佐野修の甘いヴォーカルが輝く
「悲しき雨音」、
「ブルージーンのヴィーナス」、
増田多夢の、
表現力のある歌唱が印象的な
「悲しきカンガルー」などの
親しみやすいヒット曲ばかりで、
わかりやすい訳詞と、美しいハーモニーで
この時代をリードしたパラキンの
人気ぶりがわかる名曲揃いの
ベストセレクション。(★★★★★)」(2011.2.10記)

紅一点の人気者だった
九重佑三子さんでしたが、
翌64年夏、活動の幅を広げるため、
惜しまれながら、
わずか1年半たらずの在籍で
独立してしまいます。
 
ただ、この間毎月のように出された
10枚のシングルは
いずれもヒットしており、
パラキンに残した功績は
とても大きいと思います。
 
パラキン人気(九重さん人気)に乗じて出された、
このベストアルバムは、
同じ年の7月に出された
8曲入り10インチ盤
パラダイス・キング ヒット・パレード」
を増補したかたちのものではありましたが、
60年に東芝レコードに移籍後、
パラキンの東芝での初めてのLP盤でした。
 
このアルバムは、九重さん在籍時の、
ベストセレクションになっていますので、
入門編としてもオススメの1枚ですね。
 
ほぼシングル盤のAB面の
コレクションでしたが、
九重さんのソロ「悪いのはあなた」は、
シングル曲ではなく、
その10吋盤にのみ収録されていた曲です。

なおこのアルバムは、
2008年に、64年発売のシングル
(いずれも九重佑三子さん在籍時)から
6曲追加して、
はじめてCD化されています。
 
ただ「~ヒット・パレード」だけに収録されている
もう1曲、.「悲しき笑顔」(ルウ・クリスティーの
Two Faces Have I」のカヴァー)が
このとき収録されなかったので、
この曲は、いまだに未CD化音源
となっています。
 
(ちなみに、amazonの、
このアルバムのレビューは、
私が書きました)