思いがけず始まった転職活動。声が掛かるうちが華と思い受けてみたら最終面接を突破してVerbal offer(口頭オファー、内定)されるまであっという間に進みました。そこから結構色々な手続きがあり3週間すぎて、今週ついに書面にて正式なオファーレターを受け取りました。

 

今日のブログでは、アメリカでの転職活動がどんな感じか興味がある方のために最終面接から正式オファーまでの流れを書いてみたいと思います。

 

超絶イケメン幹部と最終面接して内定もらったのが2月の中旬。数日後に採用担当からメールが来て、もしこのポストに興味があれば、そのメールの中のリンクを開いてキャリアサイトにアカウント作って、個人情報を記入して、レジュメなど必要事項もアップロードしてくださいと指示されました。一般的な転職では、一番初めにこういう採用ポータルから求人に応募するという流れですが、私の場合、社員紹介で面接まで行ってしまったので、候補者データ入力など最初の段階の手続きをこの時点でしている感じでした。これまでの学歴や職歴などを一つ一つ入力するのは面倒だなと思いましたが、PDF仕様のレジュメをアップロードするとシステムで読み取ってくれて、それがシステムに反映されるようになっていました。LinkedInのプロファイルをそのままコピーするオプションもあり、私が今の会社に転職した10年近く前と比べて随分と便利になったなと感心してしまいました。なお、ここで入力する情報はオファーされる給与の計算に使用されたり、入社するとそのまま人材情報に登録されるので、時間をかけてしっかり正確な情報を入れてくださいと言われました。

 

そして、アドバイス通り全ての情報をしっかり収集してキャリアサイトにアップロードして提出ボタンを押して完了。メールで「応募ありがとうございます。」の自動メッセージが来ました。また、政府関係の仕事もあるのでバックグランドチェックに時間がかかりますと個別に採用担当からメールが来ました。その後待つこと2週間近く、ついに一昨日オファーレターを手にしました。メールが来てリンクを開くとまた同じキャリアサイトにログインして、給料や社内グレード、配属される部署名と上司の名前などが書かれた1枚もののレターと、福利厚生などの詳細が記された添付書類にアクセスするという流れです。

 

オファーレターのサンプル。こういう書式が添付されている

 

 

提示された給料(Compensation)は、というと今もらってる額と比べて7%アップ。微妙なところです。今の会社にいると数ヶ月後に昇給が予定されており、最低3%の昇給が見込めます。よってその分相殺されて転職による実質の給与アップは4%。もちろん転職の理由は給与だけではありませんが、4%給与が上がったところで、生活が劇的に変わると思えません。一方、管理職のポストを受けたわけではなく、同じくらいのレベルのポストでの転職(アメリカではlateral move  と言います)なので、給与の増額を要求しても、「それでは来ていただかなくて結構です」となる可能性があります。若い人はこの辺りを誤解して結構吹っかける人が多いですが、採用する側としては、内部にいるもっと経験のある人よりも、外から入ってくる人に高い給料払うのは後々問題になることがわかっています。よって、大きな会社であればあるほど、余程希少なスキルとか経験を持った人でない限り、給与交渉には応じないことが多い傾向があります。とは言っても、基本的にアメリカでは給与交渉をしたところで失うものはないし、言ったもんがちなところもあるので、とりあえずこの転職を打診してきた元同僚に相談してみることにしました。

 

 

アメリカ人は転職の度ごとに昇給していく、みたいなイメージがあるかもしれませんが、そう言う華やかなケースが目立つだけで、実際にはそうでもありません。アメリカの労働市場はとても流動的で、転職理由も本当に人それぞれなので、減給しても他に何か得られるものがあれば転職する人は転職します。豊かな国の証拠かもしれませんが、それほど金持ちではなくても、「もうお金はいらないから、プレッシャーから解放されたい」みたいな感じで責任範囲の小さい仕事に自ら移行していく人もいます。いわゆるジョブ制度の下では責任範囲の変化によって給与も下がるのは当然です。

 

次の考察ポイントは福利厚生(Benefits)。特に重要なのは健康保険。アメリカでは雇用主が健康保険を提供することが一般的です。私は、長らく旦那の会社の健康保険に彼の配偶者として加入していますが、今年からカバーされる範囲が改悪になり、今の私の会社の提供する健康保険に移ろうかと話していたところでした。今回いただいたオファーを見ると、この会社の健康保険かなり条件がいいです。旦那も私もこれから歳をとるにつれて病気もするかもしれないし、より充実した健康保険は魅力的です。

 

また福利厚生の一つである年金制度。アメリカでは、401Kなどの確定拠出年金が主流で、私も今の会社で加入してます。テキサスで働いていた会社で加入した401Kを移動させてきた分も合算されて結構な額が溜まってます。これを、さらに転職先にそのまま移動して積み立てを続けられるかかが重要でした。確認してみると幸いこれは可能のようです。さらにいいニュースは、年金が2階建てになっていて、401K以外にも独自の年金スキーム(Staff Retirement Plan)があって、これに加入も可能とのこと。そろそろ老後の心配もしなくてはならない年頃。これはとても魅力的なオファーです。

 

こうしてみると、給料(Compensation)と福利厚生(Benefits)の総合的な報酬(Total Rewards)をみるとかなり魅力的なパッケージです。旦那は絶対受けるべきだよと言っていますが、急に今の会社への愛着が芽生えてきたり、また転職していきなりつまづいたらどうしよう、などの不安が交錯しています。

 

オファーへの返答期限は来週の金曜日。あと少しだけ、色々考えたいと思います。

 

 

転職しても最寄駅は変わらずグランドセントラル駅