前回のブログでは、日本人ゲイに色々とマウンティングされている話を書いたところ、共感や励ましのコメント、またDMをいただきました。ありがとうございます。Xさんとはその後メールで2往復ほどやり取りして、土曜にマンハッタンで会いたい、と誘われていたのですが、その日は大寒波に見舞われる予報でしたので、zoomでリモートでいいですかと逆提案してみました。プライドが傷ついたのか、今のところ返事はないです。笑
予報通りに土曜は酷寒でしたが、日曜はやや気温が上がりました。南部の州から出張で2週間の予定でニューヨークを訪問している大学時代の友人Y子と会うためにミッドタウンまで出かけました。Y子は寒かろうが雪が降ろうが絶対に会いたい相手。日本にいたときは結構バリキャリだった彼女ですが、アメリカの軍人さんと結婚してからは、転勤が多い旦那さんに伴い世界各地を転々としています。子供が大きくなったのと、コロナで在宅勤務可能な職場が増えたので、自宅からリモートでニューヨークの会社に入社したようで、今回はオンボーディングトレーニング(新人研修みたいなもの)で出張だそうです。
積もる話を一通りして、彼女も私も映画好きなので、私が最近ブログで書いたマンハッタンの映画ロケ地の話になりました。私が取り上げた映画とはまた違った映画を知っていて、中でも話題は、マンハッタンのファッション業界を舞台にした名作「プラダを着た悪魔(2006年)」(メリル・ストリープ×アン・ハサウェイ主演)。ミッドタウンのあたりは、まさにあの映画の舞台になり、数々のシーンに街角が登場します。
よく考えれば「プラダを着た悪魔」こそニューヨークを舞台にした名作映画の代表作の一人ですが、ブログを書いたときはすっかり忘れてしまっていました。もう何年もミッドタウンに通っていながら、特に気に留めていませんでしたが、Y子とランチ後コーヒーショップ探してた時、「あ、ここ、あのシーンに出てきたよね!」とある高層オフィスビルの前で足を留め始めたので、結局カフェには行かず「プラダを着た悪魔」撮影地巡りをすることになりました。
多分10回以上は観たかも
私は「プラダを着た悪魔」は、痛快なキャリアサクセスストーリーのカテゴリーだと思っています。まだ仕事を始めたばかりの若者が、鬼上司の下で鍛えられて、成長していく王道的立身出世物語。実際のファッション誌「Vogue」がモデルのRunway誌編集長のミランダをメリル・ストリープが演じ、彼女を支える新人アシスタント・アンディをアン・ハサウェイが演じています。Y子は、ファッションの移り変わりや業界の視点から映画を考察していて、見る人よって視点がこうも違うのだな〜と話ていてとても面白かったです。
そんな我々がまず向かったのは、3番街のステーキハウス、Smith & Wollensky。外観が特徴的な老舗レストランです。映画の中で、ランチにステーキが食べたい、というミランダのために、アンディがステーキを買いに行きます。そのステーキハウスが、このSmith & Wollenskyです。私もランチ、ディナーとも来たことがありますが、いかにもアメリカのステーキハウスという感じのゴージャスなレストランです。この辺りは、再開発が進んで、周囲には新しいビルができつつありますが、このレストランはまだ健在。ランチから夜遅くまでやっているお店の一つなので、ニューヨーク気分を味わいたい方は滞在中にぜひ。この日は、Y子が店構えをスマホで撮影してたときに、有名ゴルフ選手が食事を終えて出てくるところに遭遇しました。
3番街と東49丁目通りが交差するところにあります
その後、55丁目まで北上し、5番街とマディソン街の間に立つ、セント・レジスホテルに向かいました。ここも映画の中の名シーンのロケ地です。ミランダから「発売前のハリポッターの新刊を子供達に見せたい、」と言われ、業界内を奔走しやっとのことで原稿のコピーを入手できることになり、ここセント・レジスホテルに向かいます。アンディの憧れで有名ジャーナリスト、クリスチャン・トンプソン氏からその原稿を受け取るのが、このホテルのバーです。ちなみに、クリスチャン・トンプソンを演じるのは、サイモン・ベーカー。「プラダを着た悪魔」出演のあと、大ヒットドラマ「メンタリスト」の主演を演じ、一躍スターになりました。シックな装いでクラシックなセントレジスのバーに佇むサイモン・ベイカーの雰囲気は、セクシーそのものでした。この日は週末だったので、派手な色のダウンジャケット着た観光客でロビーがごった返していて映画の中の様子とは違いましたが、平日に行くとスーツ姿の商用客が多く、より映画の中の雰囲気が味わえると思います。
クリスチャンの人脈で、アンディは見事に出版前の原稿を手に入れる
次は、セントレジスからさらに北上して、セントラル・パークに向かいました。セントラル・パーク付近の色々なところでもこの映画のロケが行われました。例えば、Runaway新刊に向けて、豹柄とか動物のようなファッションの撮影が行われたのがセントラルパーク南端の池のほとりです。多分、映画の中では秋冬モノの撮影風景だったと思いますが、冬のこの時期はスケート場もあり、一年を通じて賑やかなエリアです。そして、この日の締めは、メトロポリタン美術館(MET)。このあたりはアッパー・イーストサイドと言われ、マンハッタンの中でも、最高級住宅エリアの一つです。アンディが頭角を表してきたパーティーシーンもここが舞台です。METの大イベントなのに風邪で頭が回らない同僚エミリーに変わって機転を効かせるアンディ。ここで、ミランダの信頼を獲得する重要シーンです。また、ミランダの住む家もこのあたりにあるという設定で、実際にこの付近のタウンハウスで撮影が行われました。
セントラルパーク南端
METのシーンはゴージャスでしたね
ミランダのタウンハウス
前日の土曜に比べ少し気温が上がったとは言っても、やはり冬のニューヨーク。セントラルパーク内を歩いて来たのでMETに着いた頃には凍えそうでしたが、ニューヨークほぼ初心者のY子のために、ミッドタウンに戻る前に最後の力を振り絞ってミランダのタウンハウスのあるアッパーイーストサイドの高級住宅地界隈も散策してみました。なんとかそれらしき建物を見つけ、一安心。喜んでもらえて良かったですし、私も、これまであまり意識していなかった「プラダを着た悪魔」ロケ地の数々、改めて訪問してみてとても楽しかったです。
行き当たりばったりで、特に事前の計画もないまま撮影地巡りをしたので、数カ所にしかいけませんでしたが、映画をご覧になるとわかるように、「プラダを着た悪魔」はニューヨーク各地で撮影されました。2006年の映画で、それほど年数が経過していないので、ほとんどの場所が映画撮影当時そのままです。映画ファンの方には、ぜひおすすめです。下のサイトではもっと詳しく、各シーンの撮影ロケ地を紹介しています。