非暴力防衛〈実行のための研究〉ネット -2ページ目

非暴力防衛・いわき》第六号(前半)             202Ⅰ年5月

非暴力防衛・いわき》第六号(前半)

            202Ⅰ年5月

 

書会「戦争をなくすために」第八回 

2月は休会、4月5日に開催しました。

いわき産業創造館・第2会議室

 テキスト:ガルトウング「日本人のための平和論」の「第Ⅰ部 日本の安全保障」のうちの「専守防衛ー丸腰では国を守れない」

参加者 4名(うち新参加者1名)

    ・・・テキスト要旨は次頁・・・

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次回読書会のご案内

 6月7日(月)2時から

会場は いわき産業創造館・第2会議室

 テキスト:ガルトウング「ミリタリーをどうするかー憲法9条と自衛隊の非軍事化」

    ご参加くださる方には テキストを準備いたしますので 御連絡下さい

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第8回読書会テキスト要旨

 

 テキストは ガルトウング「日本人のための平和論」の 「第Ⅰ部 日本の安全保障」

のうちの「1 集団的自衛権ーあと戻できる選択か」「2 沖縄問題ーいまだ占領下にある

日本」に続く節、「専守防衛ー丸腰では国を守れない」です。

 

「平和学の父」ともいわれるガルトウングが「丸腰では国を守れない」というのですから 

その真意を読み取るべく 苦労しました。 

当日は気が付かなかったのですが、最初の鍵は「はじめに」にあったようです。

「日本を苦しめている問題の根本原因は何か。そうたずねられれば、まず米国への従属とい

う事実を挙げなくてはならない。近隣諸国との間で高まる緊張はその帰結である。」

「私は本書で平和を実現するための代替案を提示する。」

 ですから、テキストの 専守防衛ー丸腰では国を守れないは その代替案の一部として

読むとわかりやすいように思いました。

 

さて 読みあった部分を 見出しを追って要約してみます。

現実的選択としての武装では 武装解除が理想だと思ってはいるが、防衛のなめには一定の武器保有は必要・・・現実的な判断として、専守防衛に向けた軍備転換を訴えています。

 

「自衛」と「専守防衛」を区別するでは、専守防衛の3つの要素として

(1)              国境防衛・・・海岸線防衛

(2)、領土内防衛・・・自民群・自衛隊による防衛

(3)非軍事的防衛・・・非暴力抵抗活動によって行う防衛を説明

 

専守防衛のための武力では スイスの長距離兵器は保有せず 短距離兵器の実を保有するを説明

 

日本の防衛はどうあるべきかでは、国境防衛のための地雷・機雷と 戦前日本の徴兵制度とは全く異なるスイスの全国民兵役義務を説明

非暴力不服従の力では ナポレオンに占領を断念させたスイス国民の不服従抵抗と これを知り かつ3千人のユダヤ人男たちを釈放せざるを得なくさせた女性たちの非暴力抗議行動を経験したヒトラーのスイス攻撃見合わせをたことを説明

 

スイスの軍事ドクトリンに学ぶでは 日本人への願いとして スイスの「戦闘協議」

・       敵から攻撃を受けても当該敵国の領土を攻撃しない

・       軍事行動は国境内で国民と領土を守ることのみに限る

・       年齢が20歳から50歳までの健康な男性からなる市民軍を兵力とする

・       占領者に対しては市民の不服従を徹底する

・       国内に外国軍の基地を置かない

・       長距離兵器の非保有を証明するために第3者機関(国連)の査察を受け入れる

を 提唱しています。

 

この日は このあと、

《非暴力防衛・いわき》第5号の「どのようにして非武装国家を実現するか『ガンジーの危険な平和憲法案』(C・ダグラス・スミス)を読みながら考える」と、

ガルトウングの「ミリタリーをどうするか―憲法9条と自衛隊の非軍事化」の一部を読みました。

 

追伸

議論のあるところだと思いますが 「専守防衛」にせよ「不服従」にせよ、防衛にあたるのが《職業的軍隊》ではなく《市民》であることは 大事なポイントであると思います。

           (文責 鞍田)

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「世界滅亡マシン・・・核戦争計画者の告白」

    (ダニエル・エルズバーグ)を読んで

                  鞍田 東

読んでいて、ただ恐ろしく、無力感に囚われてしまいました。今まで、このような事態が起きなかったのは偶然・・・奇跡に過ぎなかったことを知り、現在~これからも状況が悪くなることこそあれ。このような状況から抜け出す希望は見えていない! 若い人達、次の世代の人たちに 私どもは なんという世界を残して逝くことになるのでしょうか!

ICANの努力により核兵器禁止条約が発効したことは暗夜の燈明でありましょうし、これが核兵器所有国によって受け入れられ。核兵器が廃棄されるように努力すべきであることは言うまでもないことですが、とはいえ 

私どもの上にぶら下がっている「世界滅亡マシン」・・・狂気ともいうべき破壊力・・・ほぼ一撃で、敵国の戦力をはるかに超えて「核の冬」を招き、人類を全滅させるであろうことと、

その第一撃を実行する意思決定が 権限委譲によって 冷静な政治的・軍事的判断の枠に収まっていないこと

は、核兵器廃絶まで世界が生き残ることは困難なのではないのだろうかという恐怖で押しつぶしてしまいます。

「国防次官補特別補佐」という機密を扱う立場を経験し、そのうえでベトナム戦争介入に関する機密文書を内部告発して逮捕され、核兵器製造施設への鉄道線路で座り込みをして逮捕されるなど 捨て身の平和活動を行ってきたエルズバーグの懸命な訴えにどうこたえるべきだろうか?

 ぜひ 皆様にも読んでいただき ご意見・ご感想をお聞かせいただきたいと思うことです。

 原著出版は2017年 翻訳出版2020年

 本文が400頁を超える大冊・3900円(+税)ですが まずは プロローグ・巻末の謝辞・訳者あとがきだけでもどうぞ。

 総合図書館に所蔵されています。

 同じ著者の「国家機密と良心」(岩波ブックレット)も併せて感銘ある本でした。

 

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非暴力防衛・いわき》第六号(後半)

            202Ⅰ年5月

《紙上読書会》へのご参加を!

新型コロナ肺炎の感染が落ち着くのは いつの事でしょうか?

その間 集まっての話し合いは慎重にした方がよいのかもしれませんが、会報の紙上での意見交換は活発にしたいと思います。

 香港・台湾・尖閣・新彊ウイグルなどの日・米・中関係、ミャンマー・タイなどの東南アジア問題、日本の防衛力・防衛体制の問題、憲法改正問題などなど、かねがねお考えになっていたこと、最近の出来事についてお感じになっていること、あるいは お読みになったご本の紹介など ・・・

ご寄稿・・・メール投稿歓迎・・・を期待しています。

         メールアドレスak3501@hotmail.co.jp

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《非暴力防衛・いわき》第4号               202Ⅰ年1月

《非暴力防衛・いわき》第4号

              202Ⅰ年1月

(1面)

読書会「戦争をなくすために」第七回 報告

    2020年12月7日 

 いわき産業創造館・第2会議室

    テキスト:ガンジー「非暴力の抵抗」

(「私の非暴力 Ⅰ」所収)

    参加者:6名(うち新参加者1名)  

 輪読(テキストの要約)

・       「日本軍がわれわれの戸口にまで迫って来ている。・・・・日本軍が上陸を果たした瞬間に、非暴力の抵抗を始めることになるだろう。・・・・もし日本軍が水を与えよと強要するならば、抵抗者たちはあくまで抵抗して死ぬに違いない。・・・抵抗者たちは、日本人が全く無慈悲でどれだけの人間を殺しても平気でいるのを見ることになるかもしれない。それでもなお非暴力の抵抗者は、屈従よりも全滅を選ぶだろうから、必ずや最後の勝利をかち得るだろう。」

・       「非暴力の準備をする、あるいはそれを実現する最上の方法は、断固として建設的プログラム(*)を追求することにある。・・・建設的プログラムの裏付けなしに非暴力の力を発揮できると考えている人は、・・・悲惨な敗北をするだろう。」

(*)建設的プログラム

(一)ヒンドウー=ムスリム・・の融和,(二)不可触賤民制の除去、(三)禁酒、(四)紡ぎ車並びに、(五)その他農村手工業の奨励、(六)農村衛生施設の設置、(七)新しい基礎教育と、(八)成人教育の実施、(九)女性の地位向上、(十)保険衛生教育、(十一)国語の普及、(十二)母国語の保護、(十三)経済的平等のための活動

 

発言(ほんの一部のお項目のみ)

・新参加者の非暴力に関する活動の自己紹介(国際友和会、非暴力トレーニング など)

・安保闘争をしらない若い世代について

・「《防衛》は自衛隊に」という考え方について

・安倍政治への対応について

・コロナ時代の防衛について  など

 

次回 

4月5日(月)2時 産業創造館(ラトブ6階)、

テキスト:ガルトウング「日本人のための平和論 第1部:日本の安全保障 

3:専守防衛ー丸腰では国を守れない」

連絡先:〒971-8171 いわき市泉が丘2ー3ー4

           鞍田方 電話 0246 56 2596

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(2・3面)

Sさんの告白

    日本基督教団磐城教会  木村啓子

 九年前のあの3・11の日、いわき市豊間の海の近くに住んでいたS氏は津波に流されて亡くなられた。

 その二年まえのデイサービスでのこと、その日の朝刊に載った、親が我が子をイジメ殺したことが話題になった。十数人ほどの利用者がいる小規模の施設で、皆でどうしてこんな残酷なことが起こるのかを話していた。そのなかの一人S氏が「豚の親だって我が子を守ろうとするのに・・・人間が何故。私の背中には親豚にかまれた傷が今も残っているんだ。」それから堰を切ったように、いつもは寡黙のS氏が話し始めた。

 山形県寒河江市で農家の三男に生まれたS氏は若い時にいわき市に移り、漁業組合で事務の仕事についた。二十代で戦争に行き、そこでの体験談である。

 中国へ送られ、戦場は本当にひどいところだった。上官の命令で、女性、子供まで小屋に閉じ込めて火を放ったことがある。上官の命令は絶対だったのだと。それを何度も言う、上官のせいと言いつつとても辛そうだ。戦争の状況は悪化し食糧はなくなって、農家で飼われていた子豚を食べようと三人の仲間と子豚を襲ったとき、親豚が走ってきてS氏に噛みついた。それでも子豚を食べ、生き残ったと話された。戦後、辛いことがあると自分は何をしてきたのか、私は悪いことをしてきたからか、戦争だったから、上官の命令だったからなのに、しかし、この苦労はその時の罰なのかと。

この話を伺って、しばらく私たち全員は何も言えなかったと記憶している。誰も質問も感想も言えなかった。

 

 それからすぐ、デイサービスに払うお金は、アルツハイマー認知症の妻の入院費に使うのでとデイサービスを辞められた。もっとたくさんの経験談があったはずだが聞くことはかなわず、残念。まさか、その二年後の大地震と津波、S氏は流されつつ何を思ったことだろうと新聞の訃報覧を見ながら祈った。

 戦争とはこういう事。九十一歳で地上の生活を終えるまで苦しむこと。

「非暴力、非武装」しか平和は作れない。襲われたら、怖くて震えながらも非暴力を続ける、その訓練と覚悟が出来ますように。私の一番の祈りである。

今、コロナ禍のなか、読書時間がタップリのはず、「戦争は女の顔をしていない」「戦争で死ぬこと」「ショック・ドクトリン」など積んでいる。ゆっくりしか読めない。戦争とはなにか、非暴力、非武装を学ぶ時間が与えられている。

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(新年の想い)

ガンジーにさえ出来なかったことを!

ガンジーは言ったとのことです。

「私のような非暴力の極端な信者なら、軍隊を完全に解散することにする。」

「もし私に政府が任されたならば、私は別の道を選ぶ。なぜなら、私の下では軍隊も警察も設けないからだ。」

「しかし、その道をたどるのは私しかいない。誰がついてくるのだろうか。」

 これに対して、後継者ネルーは、

「ガンジーが提案しただろうと同じように、国は防衛のための軍隊を放棄するぐらいの勇気を持たなければならない、ということを私は政治家として提案できない。」

 日本は・・・私どもは ガンジーにさえ難しかったこのテーマに挑戦しようというのですから 大仕事ですが、傷んではいても憲法という砦を生かし、非暴力防衛の実現の道を切り開きたいと思います。   鞍田東

 

(4面)

非暴力抵抗で 

国の尊厳、国民の生活と権利を守る気概を(旧稿)

 

真の世界政府が存在しない以上、国と国民には、国の尊厳と国民の生活と権利を自ら守ろうという姿勢が必要です。しかし、軍事力でこれが守れるというのは 歴史に照らせば誤った思い込みです。どの国も、自国の安全の為に、仮想敵国を上回る軍備の強化を図り、双方が傷だらけになるまで戦うに至ったのですから。

 他方には、非武装・中立を国是とし、外交努力をつくし、にもかかわらず、万一、非道な武力侵攻があったばあいには、抵抗せずに命を守るのみという意見もありますが、これは、無政府状態から脱し、人類の共存を目指して一歩づつ歩んできた努力の歴史を冒涜するものでしょう。

しかし、人類の英知は、戦争を放棄し、しかし、非暴力抵抗で国の尊厳、国民の生活と権利を守るという道筋を生み出すに至っています。 非暴力抵抗で独立を勝ち取ったインドを先頭に、ナチスドイツ占領下での北欧諸国やソ連支配下での東欧諸国が非暴力抵抗の経験を積んできました。

 ただ、そのためには 誰かに守ってもらうのではなく、国と国民一人一人が 侵略に屈せずあくまで非暴力で抵抗するという覚悟を共有することが必要です。日本国憲法は 人類の歴史で初めて歴史と道理に学び、このような防衛を宣言したのです。誇りを持ってこれを守りませんか。

(2016年11月

 朝日新聞・憲法特集への投稿・不採用)

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  《紙上読書会》へのご参加を!

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その間 集まっての話し合いは慎重にした方がよいのかもしれませんが、かねがねお考えになっていたこと、最近の出来事についてお感じになったこと、お読みになったご本についてなど このささやかな会報を使っての意見交換は継続したいと思います。

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《非暴力防衛・いわき》第3号              2020年⒒月

   《非暴力防衛・いわき》第3号

             2020年⒒月

 読書会「戦争をなくすために」 第6回

    2020年⒑月⒓日 いわき産業創造館会議室

 テキスト:寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」⒑章『非暴力防衛の可能性』後半    参加者:8名  

進行

・  第5回読書会(2月3日)以降の報告

・  新規参加者2名を迎えて お互いに自己紹介

・  テキスト輪読・感想、意見などを交えて

・  次回日時決定 

輪読(コメント・・項目のみ)

 ⒊ 非暴力防衛への転換

防衛のパラダイム転換

 防衛の客体 国民と領土から 市民社会やや民主体制を守ること

 非協力によって 侵略の目的を遂げさせない、政治支配を不可能にする

準備と訓練は必要

 成功の鍵は 抵抗の精神 

 非暴力防衛の成否は、市民社会の形成度

民主的自治の強化

 自国の戦争政策に対する日常的な抵抗の積み重ねが 実際に侵略があったときに 非暴力防衛の体制を築くための前提となる。

非暴力防衛の戦略的有効性

 非暴力闘争の潜在能力を高めておく必要

中核をなす手段 ねばり強い非協力

非暴力防衛の闘争様式

 侵略者を敵と認識せず、改心可能な闘争相手と考える                (分析 鞍田)

次回は ⒓月7日(第1月曜日)

いわき産業創造館・第2会議室 

テキスト ガンジー 「非暴力の抵抗」

(ガンジー「私の非暴力 Ⅰ」みすず書房)

 

 

 

 用心ポイント

             米倉 明      

 このたびは「非暴力防衛・いわき」創刊号を送って下さいましてありがとうございました。(中略)いずれの文章にも私は感動しました。

 こうして、ポツポツと歩みはのろくても、一定間隔を保ちつつ、国民有志の声を集め、掲載して、一人ずつにせよ賛同者を増やしていくのが地道なやりかたではないでしょうか?

 

今回の「防衛相あてレター」は出色。これは同省スタッフ(の一部)と同省予算の一部を「非暴力不服従抵抗による防衛」の検討に充てようという主張でして、「防衛」省の仕事として何ら違和感を抱くべき仕事とは思えない、まっとうな仕事だからです。核戦争時代の防衛策としては「非暴力不服従抵抗」しかありますまい。

 

 第一に、この核時代になったからには、「一億玉砕してまで戦うべき」などという時代錯誤な考え方は日本国民にとって有害無益、日本国の永久消滅を招くだけです。

 第二に、戦争に入った場合に、国民の人的被害を避けるため、さっさと無条件降伏してしまっても何らうしろめたいことはなく、時の政権は瓦解するにしても、日本国そのものは存続する。それならそれでよいのではないか。降伏のさいに無理難題を押し付けられても、とにかく忍び、間違っても抵抗(実力行使)すべきでない。

 第三に、外交政策としては、八方美人型外交に徹する。こうして対立する強国の間にたって、その場その場をしのいでいく。これができないような外交官は役立たずで、クビにして取り替える。「八方美人」はなんら恥ずべきことではない、と頭を切り替える必要がある。

 第四に、「非暴力抵抗」などというなまぬるいやり方には反対だという人々には、その人々だけでグループを作って積極的に戦闘行為をしてもらう。そういうグループと「非暴力不服従抵抗」グループとは全然別のグループだということを国際的にもPRする必要がある。時代錯誤のわからずやにはどうか好きなように戦死してください。私どもはまきぞえはごめんこうむりますといって放置したらよい。

 

 以上の四点については、小学校高学年から始めて、中高時代にかけてしっかり教え込む必要があります。「第一~第三」、「第四」は結局「愛国心」をきちんと持っていることの結果というべきで、愛国心ある(日本国の永久存続を願う)からこそ導き出される方策だと思います。愛国心ある者なら率先して戦うべきだなどという昔の日本軍人が一般国民を戦場に送り込んだロジックに乗せられてはなりません。

 

 以上、「非暴力不服従抵抗」運動を形成していくための精神的準備運動というべき「「用心ポイント」を並べてみました。今回はこのような雑文でお許しを願います。(以下略)                      

 

負担額以前に、非暴力防衛の検討を

(2020,3,3 朝日新聞・声へ:不採用)

2日の紙面では 米軍駐留費・負担増について報じています。大事な問題であり 不可抗力であるかのように論じようとしない風潮に抗して紙面を割かれることに敬意を表します。しかし、記事の範囲が米国の負担額増加要求の是非に限られ、負担額の基礎になるはずの在日米軍の規模の問題、米軍の日本駐留の前提である日米軍事同盟による防衛の是非と、さらに抜本的に軍事力防衛のみでなく非暴力防衛という選択肢を含めて防衛を考える視線などが見えがないことを残念に思います。

なかでも 防衛を軍事力による防衛に限る場合、軍事同盟に依存する限り今回のような問題に加えて、基地負担・軍事装備購入強要・世界戦略への参加要求などの圧から免れることは困難であり、かつ緊急事態の支援が確実とはいえないという問題があります。

他方、軍事同盟から離脱していわゆる専守防衛政策による場合、仮想敵国との軍拡競争に限度がなくなり、守るべき国民の教育・福祉などを圧迫することになり、かつことあるときの結果たるや・・・・

私は、米国からの強硬な要求がある今こそ、原点に返り、非暴力防衛という選択肢について紙面を割いて検討してくださることを期待いたしています           鞍田 東

(参考)非暴力抵抗を考える

(伊藤真のけんぽう手習い塾)

《非暴力防衛・いわき》創刊号              2020年7月

《非暴力防衛・いわき》創刊号

             2020年7月

 

阿木幸男著「非暴力トレーニングの思想」を読む              宮川 正

 「非暴力トレーニング」とは何のことかと思っていましたが本文に「非暴力直接行動のトレーニング」とあって意味が解りました。

なぜトレーニングが必要か?目的を達成するうえでどんな行動が適切か、障害はないか、相対する人々や組織、権力とどう向き合うか、人々の共感を得られるか等々についてよく考え、いろんな予測もして実行に移すことが大事だということだと理解しました。

黒人男性が白人警官に首を押さえられて命を奪われた事件をきっかけに全米で広がる人種差別反対の運動。プラカードを持ち、道路いっぱいに広がってデモ行進をしています。また、香港の「国家安全法」に反対する運動。当局が禁止するマスクを着け、プラカードを 持ち、或いは無数のロウソクが灯されました。

どちらも普通の市民が平和的に行動している感動的な映像です。世界中から共感が寄せられ、トランプも習近平も無視することは出来ないでしょう。

これらの行動はどのように組織されたのか。SNSで1人の人が呼びかけたのがきっかけだという単純なものではなく、無数の人々の知恵と経験が集積されたものだろうと想像します。

ときに暴力的な行動をとる一部の動きが報じられましたが、それらは世論の非難を浴び、権力者に弾圧の口実を与えました。

平和的な行動にこそ真に力があり、それは充分な準備に基づくものだー「非暴力トレーニングの思想」はここにあるのだと思います。

本の副題には「共生社会へ向けての手法」とあります。歴史と経験を踏まえた手法を学ぶ実践の書であると読みました。

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「何故非暴力、非武装を学ぶのか」 木村啓子

もう二十年くらい前になるだろうか、私が岩波新書「従軍慰安婦」を読んでいた時、義母が「読ませてほしい、貸してね。」と言った。

義母は戦後大連からの引揚者である。義父、乳飲み子の義兄と共に。

その引き上げの時、船の中での出来事を話してくれた。船の中では、顔に 炭 を塗り、男性のような恰好を して下を向き、女性 と知られないようにしていないと、船内の 男性の相手をさせられることがあったという。

義母にもその日が来てしまった。下を向いていたのに義兄が空腹のためか泣き出してしまい 乳を飲ませないわけにはいかなくなった。そこで、女性であることが知られてしまったらしい。その時「自分の相手をしろ」と知らない男性が義母に寄って来た。どんな恐怖だったか 、(その時義父はどうしたのか、今となっては聞くことができないが、今でも聞けなかっただろう。)その時「この人は乳をやるんだろう、私で我慢しなと女性が助けてくれた。身代わりになってくれたというのだ。その女性は慰安婦をしていた、日本語が上手ではなかったと義母が言った。何故その人が慰安婦だと分かったのか、詳細は聞き漏らしてしてしまった。

本当に残念。

そんなことが同じ日本人の、ましてや夫もそばにいる女性の身に起こったのだろうか。敗戦の打ちひしがれた想いは、そこまで心を堕落させるのだろうか。作家、なかにしれいさんの「赤い月」という小説を読むと詳しく書いてある。

義母はこの話を嫁の私にしかしなかった。

事実とは何て残酷なんだろうと思う。戦争になればこの残酷さが普通のことになってしまう。戦争に反対する、戦争をしないこと、それは「非武装、非暴力」を具体化するしかないと思っている。どうすればいいのか、何をすればいいのか、学びたいと思う。

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疑問・・・非暴力防衛で 戦争をなくす?

            小松 一行

 戦争遺児である私にとって「二度と戦争をしない、してはいけない」という命題は、避けて通れないことなので、一時期、勉強してみました。

 そして辿りついた私なりの認識は、「戦争をなくすことは難しい」ということでした。それは人のこころに、理性ではどうにもならない、消しさることできない「欲望や思わくという業」が存在するからです。

 このことは現在、そしてこれまでの歴史を振り返ってみても自明です。

だから、多くのオヤジたち戦死者の死は、一体なんだったんだろうと悔しく空しい思いなのです。それからは自分に、「願いだけは持ち続けよう」と固く誓っ。

て、社会に祈りの思念を送り続け、子供孫たちに語り継ぎ今日に至っておりました。今回「非暴力防衛論」を読ませていただき、その崇高な理念に感服すると同時に、みなさんもこの重く深い課題に真摯に向き合っている姿勢に胸をうたれました。

 私のこれからの進むべき道をご教示いただいた気がしてきて、希望が湧いてきました。しかし、いまだに私の胸には、現実に戦争をなくすことができるのか、また、我が国に突如他国から、核ミサイルが飛んできて甚大な穂買いを受けたとしても戦わないのか、という思いは消えていません。久しぶりに、勉強する意欲が湧いてきました。

 心から感謝しております。

 ただ私は、体力、体調に自信がありませんが精一杯頑張ろうと思っております。

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2019年12月24日

防衛大臣 河野 太郎 様

              鞍田  東

 非暴力不服従抵抗による防衛について

 私は 軍事力による防衛は 限りない軍拡競争を招き また軍事的衝突となった場合の惨禍は恐るべきものとなり しかもその結果は予想できないと考えています。

 

 他方 国民挙げての非暴力不服従抵抗による防衛は 教育・訓練・組織の維持に相当の努力と時間が必要ですが 必要な費用、抵抗の犠牲は 格段に少なく、長期的な成功は世界の歴史にてらして より確実であると考えています。

 

 また いくつかの書籍には いくつかの国では 国防担当の部署が 防衛政策として検討しているとあります。

 

私は 防衛省のスタッフの一部と 防衛省予算の一部を 非暴力不服従抵抗による防衛の検討に充ててくださるよう 要請いたします。

 その結果として 日本国憲法にのっとる防衛政策として 採用されることを 期待しています。

(参考文献)

宮田光男「非武装国民抵抗の思想」1971年 

マイケル・ランドル「市民的抵抗」2003年 

ジーン・シャープ「市民力による防衛」

(防衛省のサイトへ投稿)

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 ご意見・ご寄稿を心からお待ちしています。

 (連絡先)泉が丘2丁目3ー4 鞍田 東

      〒971-8171 電話56-2596

      mail ak3501@hotmail.co.jp 

   2020年7月

 

 

 

 

 

《非暴力防衛・いわき》創刊準備号

《非暴力防衛・いわき》創刊準備号

私どもは 昨年6月に《非暴力防衛》について学びを深めるため、「戦争をなくすために」という読書会を始め、まずジーンシャープ「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」。ついで寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」の章『非暴力防衛の可能性』と読み進めておりましたところ、会場としていたいわき市総合図書館が閉鎖され中断。その後。図書館は再開されましたが、グループ閲覧室は閉鎖のままです。

その間にも、基地新設・軍備増強などは進められており、改憲機運の醸成努力にも緩みはないようです。

 また、コロナ禍は 国家間の緊張にまで及びつつあるようです。

防衛といえば軍事力という流れに疑問を いだき、《非暴力防衛》についての研究は、非力でも 進めてゆきたいと思うことです。

そのために 会合をもつことにかえて、この課題に関心をお持ちくださる方々に、ご意見・疑問・感想などをお寄せいただき 小冊子にまとめてみてはどうかと思いつきました。 

いわば 紙上読書会というわけです。 

私のイメージは

皆様に 700字程度(A5版・1ページ分)の文章をお寄せいただき A5版・4ページ(A4版・裏表)のリーフレットにまとめ お返しする。

これを 皆様方に 必要部数コピーして 皆さまの身の回りの方々やお知り合いなどにお配りいただき お読みいただいて 意見交換のきっかけにしていただく。

これを繰り返す・・・というものです。

 これは その雛型のつもりです・

 いかがでしょうか?

 ご意見・ご寄稿を心からお待ちしています。

 (連絡先)泉が丘2丁目3ー4 鞍田 東

      〒971-8171 電話56-2596

      mail ak3501@hotmail.co.jp 

   20205月   

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]   憲法記念日に            

 

ガンディーが 1925年(独立達成の20年前)に《非暴力》について述べた言葉を見つけました。

『私の使命(非暴力)がひとりインドだけで成就できないことは、わたしもじゅうぶん承知している。けれども、わたしは謙虚に自分の限界を認識して、インドにおける実験の結果がわかるまでは、今しばらくは舞台をインドに限らなければならないことを意識していたいと思う。

世界の改善のために、インドが自らをすすんで清い犠牲に供することができるほど、自由で強くなってもらいたい。』「アメリカの友らに」(ガンディー「私の非暴力1」)

いわゆる「リアリスト」の改憲論だけでなく、いわゆる「護憲論者」であって 「自衛隊の存在を認める人」、「日米安保条約を認める人」などを含めると、日本国憲法・・・第九条を素直に文字どおりに護ろうとする人はすでに少数派となっています。

これでは 何かあったときには 戦争に参加してしまい、「非戦・非武装」という世界史の大きな流れの中で日本人に託された人類的使命に背いてしまうことになるのでは?

今こそ、わたくしは いかに少数派となっても 「非暴力防衛」を掲げることにより、ガンディーのこのような覚悟に学びつつ、努力を尽くしてゆきたいと感じました。

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 非暴力防衛への二つの入り口

 

読書会を始め、基本的なテキストを一緒に読んできましたが、次にはどのように学びを進めてゆけばよいのでしょうか?

 この点について、寺島俊穂「市民的防衛の論理」という論文を読んでいて非暴力防衛というテーマへの入り口が二つあるのではないかと気づきました。

 一つは 《非暴力主義者として「防衛」という課題とどう向き合うか》いう入り口。

 一つは 《戦争の悲惨を回避する防衛政策がありうるのだろうか》という入り口です。

 寺島論文から 若干引用しますと

「ガンディーの防衛思想

・・・自己犠牲さえ厭わぬ非暴力手段による防衛を提唱」

「市民的防衛論の代表的な主唱者であるジーン・シャープの議論

・・・市民的防衛は信条ではなく政策だということを強調・・・市民的防衛を採用する国の市民がすべて平和主義者や非暴力主義者である必要はなく、その政策としての有効性を確信することが求められているのである」

 この違いがありうることを認識し。同時に、この入り口の違いにつては、統一する必要はないと交通整理してみてはどうでしょうか?

そのうえで、非暴力防衛の有効性、非暴力防衛の方法。世論への働きかけなどについて 勉強してゆく順序を決め、具体的な検討に取り掛かってはどうかと思いついたのです。

どうお考えでしょうか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  合気道

  攻撃せずに身を守る武道

『娘と話す 非暴力ってなに?』という本をよんでいて、「合気道」という言葉に出会い、驚いたことがあります。

七〇歳を前にして勤めから離れ、長年組織の一員として働いてきたものが、一人で社会に向き合ってゆく姿勢を身に着けるために、一対一で向き合うスポーツをやってみてはどうだろうかと感じ、たまたま近所で見かけた合気道の道場へ通い始めていたときでした。

この言葉は、「非暴力ってへんな言葉だね」「非暴力では身体を守れないじゃない?」「「なぐられだけなんてごめんだわ」という娘に対して父親が《合気道》って知ってるだろう?」と答えるところで出てきます。

父親は「非暴力的に戦えるスポーツなんだよ。」「合気道の原則は、攻撃しないで自分を守るということなんだ。」「合気道を習えば、攻撃されてもこわくなくなる。」と続けます。

そう言われてみると確かにそうでした。

武道であるのに、合気道には 先手で攻撃する技がありません。相手の攻撃をどう受けて、どのようにかわし、どのようにして相手がさらなる攻撃ができないように抑え込むかという練習がすべてなのです。

手刀、あるいは木刀や杖で攻撃する練習もしますが、これらはすべて攻撃を受ける側の技の練習のためなのです。

 

なるほどと思いました。

そして、ガンディーやキング牧師に由来する非暴力行動の思想の歴史の中に、日本の文化に繫がるものがあることを誇らしく感じたものです。

さらには、「非暴力防衛」という聞き慣れない言葉に違和感を感じる方に説明するときに、良い例が見つかったと思ったものでした。

ジャック・セムラン

「娘と話す 非暴力ってなに?」

    現代企画室 二〇〇二年

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回

     202023日 2時~ いわき市総合図書館・グループ閲覧室

     木村、宮川、武田、吉岡、鞍田  

テキスト・寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」の10章『非暴力防衛の可能性』の前半を交代で読みながら 話し合いました。

 

   1 非暴力防衛とは何か

   2 非暴力防衛というオルタナティヴ

 

   1 非暴力防衛とは何か では 

従来 護憲派のうちには「実際に攻められたらどうするのか」という問いに対し、「そのような問いは 近隣諸国を敵視することにつながり、憲法前文の精神に反するとい考え方があったのではないか」と述べられている。この点については

軍事的侵略の可能性の節で 冷戦後の世界でも 軍事的侵略が 事実として絶対に起こらないとは言えないとし、その場合 軍事力・・・自衛隊、日米安保・・・・戦争で対抗するというのが世論であること、これに対して、「自衛戦争にとって代わる民衆の抵抗方法」を明らかにしたいと述べられ、これを受けて

非暴力防衛とは何かの節で 「たとえ軍事的侵略を受けても、国民が一丸となって非暴力抵抗運動を行い、侵略の目的を遂げさせず、軍事的侵略を敗北においこんでいく」とい考え方であると説明している。

さらに、非暴力防衛は

防衛の主体が 軍隊ではなく 市民であること 

軍事的防衛の場合は 民主主義や人権が停止されるが 民主主義た自治が徹底化されること

軍隊においては 秘密裏に決定がなされるが、対等性、公開性・・民主的自治が保証されやすい

と述べられている。

 さらに

   2 非暴力防衛というオルタナティヴ において  

 代替防衛構想の誕生 を それまで「永遠平和のために」で「常備軍の廃止」まで唱えていたカントさえ当然としていた(民兵組織によるものとはいえ)軍事的防衛に代わる思想の誕生以来の歴史に沿って説明・・・・トルストイ、ガンディー、バートランド・ラッセル

学問的研究は リチャード・グレッグ(『非暴力の力』1934年)・・・「戦争に比べて、非暴力抵抗はより安全でより効果的な政策手段である」 

 さらに

 非暴力防衛の事例 として 20世紀に入ってからの 外国軍の侵略・占領に 非暴力で抵抗しえたいくつかの事例を やや具体定期に紹介している。

1]ルール闘争 1923年 ドイツ対フランス・ベルギー

2]ナチス占領下のオランダ、デンマーク、ノルウェー

3]チェコ事件 1968年 チェコスロヴァキア対ソ連・ワルシャワ条約軍

4]バルト三国における非暴力防衛 バルト3国対ソ連軍

5]反ゴルバチョフクーデター阻止 1991

 これらは あらかじめ準備されて行われたものではなかった。

 しかし その成果から学び 検討が進められてきたことが紹介されている。

 市民的防衛論としての進展

 アダム・ロバーツ 小冊子「市民的防衛」を刊行、オックスフォード大学で専門家会議を開く。

 ジーン・シャープ チェコ事件に学び 〈前もっての準備と訓練によって侵略された国が支配をはねのける〉という研究を進める。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その間、「肉親が殺された場合には非暴力でいられない」、「非暴力行動の準備としての〈非暴力トレーニング〉、」前回提案された「読書会を知ってもらうための〈日々の新聞〉への折込み」の案文、防衛相への非暴力防衛研究の意見書 などが話題になりました。

(紹介された参考文献)

「非暴力」阿木幸男 1987年 現代書館

「非暴力トレーニングの思想」阿木幸男 2000年 論創社

 

 

次回は 4月6日(第1月曜日)2時、いわき市総合図書館5階・グループ閲覧室(予定)です。 

テキストとしては、寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」2015年(法律文化社)・10章『非暴力防衛の可能性』の後半を読む予定です。 

                           (文責・鞍田)

 「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第4回

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第4

     201912月2日 2時~ いわき市総合図書館・グループ閲覧室

     木村、藤内、宮川、鞍田  

テキスト・ジーンシャープ「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」の最後の4つの節を交代で読みながら 話し合いました。

核兵器

脱軍備「トランス・アーマメント」

市民防衛の成果

選択肢を創る

   ・・・・以下  』は シャープの文章です

 

  核兵器 への対応については

『いまだに適切な検討が加えられたことはない。』としながらも、『市民防衛は・・・一方的・自主的核兵器削減、核兵器な完全な一方的撤去を・・・実施する。』と述べています。

 この文章が書かれた1979年の後、最近米国による一方的破棄通告がなされたちはいえ、いったんは「米ソ中距離核兵器全廃条約」が締結され、核兵器保有国の参加がないものの「核兵器禁止条約」が採択されるなど 核兵器は〈外交上の手段〉であっても〈使用は困難〉であるという認識は、共有されつつあるのではないでしょうか。

脱軍備「トランス・アーマメント」 の道筋については

『強力な防衛政策として完成した市民防衛が採用されるのは、これが効果を発揮できると判断された時だけであるから、まず最初に一国ないし二,三国だけでもこの政策を採用してみる。』とし、『正確な予測を下すのはきわめて困難だが、・・・2005年までには、最初の脱軍備が行われ』ることを期待していたのです。

また、『新政策の採用は必らず強固な抵抗に会うと予想されるし、軍事大国が短期間のうちに脱軍備を実現するとは考えられ』としながらも、『防衛政策の一環に加えることになる』ことも期待していました。

そして、『有効性と有益性について納得させられ』『準備と訓練が着々と進む』ことによって、『軍事力に依存する部分は漸減し、ついには、廃棄へと向かうことも予想される。』としています。

市民防衛の成果 としては

『国際緊張が緩和』し、『中小国に自力本願の防衛力を得させ』、『国内資源や工業生産力や、財源やエネルギー源・・・軍事防衛ほど浪費』せず、『国の外交政策や国連の活動への政策を 軍事統制から解放』する。

 さらに、『防衛に値する社会の原理や制度・・を考える気運が生まれ』『国を守ることを口実にして軍事力増強を「正当化」すること』をできなくすることを期待しています。

  選択肢を創る

『大多数の政府や国民は、攻撃の抑止と攻撃からの防衛にあたり、・・・・戦争にひたすら依存する。彼らには、実は、選択肢がないのである。』

 残念ながら、現在の日本も そのとうりと言わざるを得なません。このような状況を変えるためには、『予備的基礎研究、問題解決研究、政策学、実行可能性の研究、下準備、緊急計画作成、訓練等がきわめて重要になってくる。』

 そして、『それに劣らず重要なのが、国民の防衛意志、レジスタンス中の非国家機関の反発力、賢明な戦略を立案実行する市民防衛者の力量である。』という。そのとうりでしょう。

 日本は 「日本国憲法」制定と同時に このような努力を始めているべきだったとおもいます。

 それでも、憲法第9条は 政府~国民がこの〈選択肢〉に気づいた時、貴重な足がかりになりましょう。

 

その間に、市民防衛における市民と国家との関係、香港の市民運動の一部の暴徒化などが話題となりました。

又、宮田光雄「非武装国民抵抗の構想」1971年(岩波新書)や小林直樹「憲法第9条」1982年(岩波新書)、などで 半世紀も前に 日本の防衛政策として 〈非暴力防衛〉が提唱されているのに、これがなぜ「護憲派」の政治家や市民運動で取り上げられてこなかったのか

そのような状況のなかで どのようにして 非暴力防衛を国民的合意にまで持ってゆくか

本来であれば 防衛省が 一つの選択肢として検討してしかるべきではなかったのだろうか

潜在しているはずの賛同者へ どのようにしてよびかけるか

まずは いわき市民に 読書会がはじめられていることを知ってもらうため、「日々の新聞」に何らかの文書を折込んでみてはどうだろうか ということになり 具体案を検討することになりました。

 

次回は 202023日(第1月曜日)2時、いわき市総合図書館5階・グループ閲覧室(予定)です。 

テキストとしては、数冊の候補のうち、

寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」の10章『非暴力防衛の可能性』2015年(法律文化社)

を読むことになりました。       (文責・鞍田)

「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第3回

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第3

     2019107日 1時半~ いわき市総合図書館・グループ閲覧室

     木村、馬場、宮川、鞍田  

テキスト・ジーンシャープ「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」の6頁~9頁(前半)の 次の3つの節を 交代で読みながら 話し合いました。

 市民を基盤とする防衛

 さまざまな防衛責任

 その他の市民防衛作戦

主な点は      ・・・・『   』は シャープの文章です

 市民を基盤とする防衛 とは

『兵器や軍事力ではなく』『市民や社会的機関など社会的勢力に基盤を置』いた防衛政策である。

 すなわち、『市民や諸機関が大挙して選択的に実行する非暴力的非協力と反抗行動でもって、占領支配や統制を不能に』しようとするのです。

 これによって、『民衆が侵略者のいいなりになることを防ぎ、敵の意図をくじく』わけです。

 やや具体的には、『イデオロギーの教化や洗脳』、『経済的搾取』、『権力の奪取』など さまざまな面で闘うことができます。 

「これで 侵略を防ぎ、撃退できるだろうか?」、「今の日本人に そのような抵抗ができるのだろうか?」などの意見は 先まで読んでということにしました。

 さまざまな防衛責任 では

『市民や公共機関はともに、差し迫った問題に応じた、特定の防衛責任を担う責任がある』として、いくつかの具体例が挙げられています。

『警察』、『新聞記者や編集者』、『聖職者』、『政治家や公務員や裁判官』、『教師』、『労働者や経営者』、『専門職集団や労働組合』が分担する行動が 歴史を引用しながら 述べられています。

『これらの防衛策は、・・・全人民の全機構がこぞって防衛闘争に参加する』ので、『自発的であ必要』があり、『本質的に民主的である。』

『武力衝突と同様に、死傷者が出ることも予想される』が、『意気阻喪するとか、投稿するなどの理由がないのは、武力衝突の時と同様である。』

 では、「どのようにして そのような準備をととのえるのか?」 これも 今後 話し合うことにしました。

 その他の市民防衛作戦 の節では

『攻撃者の軍隊や行政担当者たちのもくろみと忠誠心と服従をくつがえす』こと

『敵を支持する国々や敵国民に向けて、敵陣営の内部告発や分裂や抗議をひき起こす』こと

『国際的反対運動や市民防衛者への国際的支援』などについて 触れられている。

最後に防衛というと「〈自衛隊の強化〉か、〈日米同盟依存〉か」という日本の世論に対して、詳細な検討に先立って、小さくとも、「〈非武装・非暴力・不服従抵抗〉という〈選択肢〉の〈旗を掲げる〉こと」も必要ではないかということについても 話し合われました。

その他、このテキストを翻訳された岡本珠代氏の逝去、香港の運動、米軍軍政下沖縄伊江島の農民の非暴力抵抗などについての発言もありました。

 又、「憲法第9条」(小林直樹)の「結び」の一部、〈今の日本をどのように変えてゆくか〉を論じた部分のコピーが配布されました。

次回は 12月2日(第1月曜日)2時、いわき市総合図書館5階・グループ閲覧室(予定)です。 

テキスト・ジーンシャープ「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」の「核兵器」9頁)から話し合うことになりましょう。                           (文責・鞍田)

 

  ウエブサイト「マガジン9条―伊藤真のけんぽう手習い塾」のご紹介

  ウエブサイト「マガジン9条―伊藤真のけんぽう手習い塾」

http://www.magazine9.jp/juku/063/063.php 

〈非暴力防衛〉というキーワードで検索してみましたら このサイトに出会うことができました。

1回 自民党新憲法草案を読む(2005119日)から 最終回 信頼関係の先に。9条を持つ日本の進むべき道(2008101日)までの 全73回のうち 5回を 〈非暴力防衛〉に充ててあります。

 第61回 軍事力によらない抵抗を考える

第62回 非暴力抵抗の目的

第63回 非暴力防衛、市民的防衛の出発点

第71回 非暴力防衛の事例を検証する

 第72回 テロ特措法の戦いと非暴力防衛への共通認識

 この方独特の分かり易く 端的な文章です。

 

 

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回

  「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回

     202023日 2時~ いわき市総合図書館・グループ閲覧室

     参加者 5名  

テキスト・寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」の10章『非暴力防衛の可能性』の前半を交代で読みながら 話し合いました。

 

   1 非暴力防衛とは何か

   2 非暴力防衛というオルタナティヴ

 

   1 非暴力防衛とは何か では 

従来 護憲派のうちには「実際に攻められたらどうするのか」という問いに対し、「そのような問いは 近隣諸国を敵視することにつながり、憲法前文の精神に反するとい考え方があったのではないか」と述べられている。この点については

軍事的侵略の可能性の節で 冷戦後の世界でも 軍事的侵略が 事実として絶対に起こらないとは言えないとし、その場合 軍事力・・・自衛隊、日米安保・・・・戦争で対抗するというのが世論であること、これに対して、「自衛戦争にとって代わる民衆の抵抗方法」を明らかにしたいと述べられ、これを受けて

非暴力防衛とは何かの節で 「たとえ軍事的侵略を受けても、国民が一丸となって非暴力抵抗運動を行い、侵略の目的を遂げさせず、軍事的侵略を敗北においこんでいく」とい考え方であると説明している。

さらに、非暴力防衛は

防衛の主体が 軍隊ではなく 市民であること 

軍事的防衛の場合は 民主主義や人権が停止されるが 民主主義た自治が徹底化されること

軍隊においては 秘密裏に決定がなされるが、対等性、公開性・・民主的自治が保証されやすい

と述べられている。

 さらに

   2 非暴力防衛というオルタナティヴ において  

 代替防衛構想の誕生 を それまで「永遠平和のために」で「常備軍の廃止」まで唱えていたカントさえ当然としていた(民兵組織によるものとはいえ)軍事的防衛に代わる思想の誕生以来の歴史に沿って説明・・・・トルストイ、ガンディー、バートランド・ラッセル

学問的研究は リチャード・グレッグ(『非暴力の力』1934年)・・・「戦争に比べて、非暴力抵抗はより安全でより効果的な政策手段である」 

 さらに

 非暴力防衛の事例 として 20世紀に入ってからの 外国軍の侵略・占領に 非暴力で抵抗しえたいくつかの事例を やや具体定期に紹介している。

1]ルール闘争 1923年 ドイツ対フランス・ベルギー

2]ナチス占領下のオランダ、デンマーク、ノルウェー

3]チェコ事件 1968年 チェコスロヴァキア対ソ連・ワルシャワ条約軍

4]バルト三国における非暴力防衛 バルト3国対ソ連軍

5]反ゴルバチョフクーデター阻止 1991

 これらは あらかじめ準備されて行われたものではなかった。

 しかし その成果から学び 検討が進められてきたことが紹介されている。

 市民的防衛論としての進展

 アダム・ロバーツ 小冊子「市民的防衛」を刊行、オックスフォード大学で専門家会議を開く。

 ジーン・シャープ チェコ事件に学び 〈前もっての準備と訓練によって侵略された国が支配をはねのける〉という研究を進める。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

その間、「肉親が殺された場合には非暴力でいられない」、「非暴力行動の準備としての〈非暴力トレーニング〉、」前回提案された「読書会を知ってもらうための〈日々の新聞〉への折込み」の案文、防衛相への非暴力防衛研究の意見書 などが話題になりました。

(紹介された参考文献)

「非暴力」阿木幸男 1987年 現代書館

「非暴力トレーニングの思想」阿木幸男 2000年 論創社

 

 

次回は 4月6日(第1月曜日)2時、いわき市総合図書館5階・グループ閲覧室(予定)です。 

テキストとしては、寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」2015年(法律文化社)・10章『非暴力防衛の可能性』の後半を読む予定です。 

                           (文責・鞍田)