「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回
「戦争の廃絶を実現可能な目標とするために」読書会 第5回
2020年2月3日 2時~ いわき市総合図書館・グループ閲覧室
木村、宮川、武田、吉岡、鞍田
テキスト・寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」の10章『非暴力防衛の可能性』の前半を交代で読みながら 話し合いました。
1 非暴力防衛とは何か
2 非暴力防衛というオルタナティヴ
1 非暴力防衛とは何か では
従来 護憲派のうちには「実際に攻められたらどうするのか」という問いに対し、「そのような問いは 近隣諸国を敵視することにつながり、憲法前文の精神に反するとい考え方があったのではないか」と述べられている。この点については
軍事的侵略の可能性の節で 冷戦後の世界でも 軍事的侵略が 事実として絶対に起こらないとは言えないとし、その場合 軍事力・・・自衛隊、日米安保・・・・戦争で対抗するというのが世論であること、これに対して、「自衛戦争にとって代わる民衆の抵抗方法」を明らかにしたいと述べられ、これを受けて
非暴力防衛とは何かの節で 「たとえ軍事的侵略を受けても、国民が一丸となって非暴力抵抗運動を行い、侵略の目的を遂げさせず、軍事的侵略を敗北においこんでいく」とい考え方であると説明している。
さらに、非暴力防衛は
防衛の主体が 軍隊ではなく 市民であること
軍事的防衛の場合は 民主主義や人権が停止されるが 民主主義た自治が徹底化されること
軍隊においては 秘密裏に決定がなされるが、対等性、公開性・・民主的自治が保証されやすい
と述べられている。
さらに
2 非暴力防衛というオルタナティヴ において
代替防衛構想の誕生 を それまで「永遠平和のために」で「常備軍の廃止」まで唱えていたカントさえ当然としていた(民兵組織によるものとはいえ)軍事的防衛に代わる思想の誕生以来の歴史に沿って説明・・・・トルストイ、ガンディー、バートランド・ラッセル
学問的研究は リチャード・グレッグ(『非暴力の力』1934年)・・・「戦争に比べて、非暴力抵抗はより安全でより効果的な政策手段である」
さらに
非暴力防衛の事例 として 20世紀に入ってからの 外国軍の侵略・占領に 非暴力で抵抗しえたいくつかの事例を やや具体定期に紹介している。
[1]ルール闘争 1923年 ドイツ対フランス・ベルギー
[2]ナチス占領下のオランダ、デンマーク、ノルウェー
[3]チェコ事件 1968年 チェコスロヴァキア対ソ連・ワルシャワ条約軍
[4]バルト三国における非暴力防衛 バルト3国対ソ連軍
[5]反ゴルバチョフクーデター阻止 1991年
これらは あらかじめ準備されて行われたものではなかった。
しかし その成果から学び 検討が進められてきたことが紹介されている。
市民的防衛論としての進展
アダム・ロバーツ 小冊子「市民的防衛」を刊行、オックスフォード大学で専門家会議を開く。
ジーン・シャープ チェコ事件に学び 〈前もっての準備と訓練によって侵略された国が支配をはねのける〉という研究を進める。
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その間、「肉親が殺された場合には非暴力でいられない」、「非暴力行動の準備としての〈非暴力トレーニング〉、」前回提案された「読書会を知ってもらうための〈日々の新聞〉への折込み」の案文、防衛相への非暴力防衛研究の意見書 などが話題になりました。
(紹介された参考文献)
「非暴力」阿木幸男 1987年 現代書館
「非暴力トレーニングの思想」阿木幸男 2000年 論創社
次回は 4月6日(第1月曜日)2時、いわき市総合図書館5階・グループ閲覧室(予定)です。
テキストとしては、寺島俊穂「戦争をなくすための平和学」2015年(法律文化社)・10章『非暴力防衛の可能性』の後半を読む予定です。
(文責・鞍田)