《非暴力防衛・いわき》創刊号              2020年7月 | 非暴力防衛〈実行のための研究〉ネット

《非暴力防衛・いわき》創刊号              2020年7月

《非暴力防衛・いわき》創刊号

             2020年7月

 

阿木幸男著「非暴力トレーニングの思想」を読む              宮川 正

 「非暴力トレーニング」とは何のことかと思っていましたが本文に「非暴力直接行動のトレーニング」とあって意味が解りました。

なぜトレーニングが必要か?目的を達成するうえでどんな行動が適切か、障害はないか、相対する人々や組織、権力とどう向き合うか、人々の共感を得られるか等々についてよく考え、いろんな予測もして実行に移すことが大事だということだと理解しました。

黒人男性が白人警官に首を押さえられて命を奪われた事件をきっかけに全米で広がる人種差別反対の運動。プラカードを持ち、道路いっぱいに広がってデモ行進をしています。また、香港の「国家安全法」に反対する運動。当局が禁止するマスクを着け、プラカードを 持ち、或いは無数のロウソクが灯されました。

どちらも普通の市民が平和的に行動している感動的な映像です。世界中から共感が寄せられ、トランプも習近平も無視することは出来ないでしょう。

これらの行動はどのように組織されたのか。SNSで1人の人が呼びかけたのがきっかけだという単純なものではなく、無数の人々の知恵と経験が集積されたものだろうと想像します。

ときに暴力的な行動をとる一部の動きが報じられましたが、それらは世論の非難を浴び、権力者に弾圧の口実を与えました。

平和的な行動にこそ真に力があり、それは充分な準備に基づくものだー「非暴力トレーニングの思想」はここにあるのだと思います。

本の副題には「共生社会へ向けての手法」とあります。歴史と経験を踏まえた手法を学ぶ実践の書であると読みました。

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「何故非暴力、非武装を学ぶのか」 木村啓子

もう二十年くらい前になるだろうか、私が岩波新書「従軍慰安婦」を読んでいた時、義母が「読ませてほしい、貸してね。」と言った。

義母は戦後大連からの引揚者である。義父、乳飲み子の義兄と共に。

その引き上げの時、船の中での出来事を話してくれた。船の中では、顔に 炭 を塗り、男性のような恰好を して下を向き、女性 と知られないようにしていないと、船内の 男性の相手をさせられることがあったという。

義母にもその日が来てしまった。下を向いていたのに義兄が空腹のためか泣き出してしまい 乳を飲ませないわけにはいかなくなった。そこで、女性であることが知られてしまったらしい。その時「自分の相手をしろ」と知らない男性が義母に寄って来た。どんな恐怖だったか 、(その時義父はどうしたのか、今となっては聞くことができないが、今でも聞けなかっただろう。)その時「この人は乳をやるんだろう、私で我慢しなと女性が助けてくれた。身代わりになってくれたというのだ。その女性は慰安婦をしていた、日本語が上手ではなかったと義母が言った。何故その人が慰安婦だと分かったのか、詳細は聞き漏らしてしてしまった。

本当に残念。

そんなことが同じ日本人の、ましてや夫もそばにいる女性の身に起こったのだろうか。敗戦の打ちひしがれた想いは、そこまで心を堕落させるのだろうか。作家、なかにしれいさんの「赤い月」という小説を読むと詳しく書いてある。

義母はこの話を嫁の私にしかしなかった。

事実とは何て残酷なんだろうと思う。戦争になればこの残酷さが普通のことになってしまう。戦争に反対する、戦争をしないこと、それは「非武装、非暴力」を具体化するしかないと思っている。どうすればいいのか、何をすればいいのか、学びたいと思う。

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疑問・・・非暴力防衛で 戦争をなくす?

            小松 一行

 戦争遺児である私にとって「二度と戦争をしない、してはいけない」という命題は、避けて通れないことなので、一時期、勉強してみました。

 そして辿りついた私なりの認識は、「戦争をなくすことは難しい」ということでした。それは人のこころに、理性ではどうにもならない、消しさることできない「欲望や思わくという業」が存在するからです。

 このことは現在、そしてこれまでの歴史を振り返ってみても自明です。

だから、多くのオヤジたち戦死者の死は、一体なんだったんだろうと悔しく空しい思いなのです。それからは自分に、「願いだけは持ち続けよう」と固く誓っ。

て、社会に祈りの思念を送り続け、子供孫たちに語り継ぎ今日に至っておりました。今回「非暴力防衛論」を読ませていただき、その崇高な理念に感服すると同時に、みなさんもこの重く深い課題に真摯に向き合っている姿勢に胸をうたれました。

 私のこれからの進むべき道をご教示いただいた気がしてきて、希望が湧いてきました。しかし、いまだに私の胸には、現実に戦争をなくすことができるのか、また、我が国に突如他国から、核ミサイルが飛んできて甚大な穂買いを受けたとしても戦わないのか、という思いは消えていません。久しぶりに、勉強する意欲が湧いてきました。

 心から感謝しております。

 ただ私は、体力、体調に自信がありませんが精一杯頑張ろうと思っております。

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2019年12月24日

防衛大臣 河野 太郎 様

              鞍田  東

 非暴力不服従抵抗による防衛について

 私は 軍事力による防衛は 限りない軍拡競争を招き また軍事的衝突となった場合の惨禍は恐るべきものとなり しかもその結果は予想できないと考えています。

 

 他方 国民挙げての非暴力不服従抵抗による防衛は 教育・訓練・組織の維持に相当の努力と時間が必要ですが 必要な費用、抵抗の犠牲は 格段に少なく、長期的な成功は世界の歴史にてらして より確実であると考えています。

 

 また いくつかの書籍には いくつかの国では 国防担当の部署が 防衛政策として検討しているとあります。

 

私は 防衛省のスタッフの一部と 防衛省予算の一部を 非暴力不服従抵抗による防衛の検討に充ててくださるよう 要請いたします。

 その結果として 日本国憲法にのっとる防衛政策として 採用されることを 期待しています。

(参考文献)

宮田光男「非武装国民抵抗の思想」1971年 

マイケル・ランドル「市民的抵抗」2003年 

ジーン・シャープ「市民力による防衛」

(防衛省のサイトへ投稿)

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 ご意見・ご寄稿を心からお待ちしています。

 (連絡先)泉が丘2丁目3ー4 鞍田 東

      〒971-8171 電話56-2596

      mail ak3501@hotmail.co.jp 

   2020年7月