ギターを所有する者の中には、「自分はギターに名前(愛称)を付けて呼んでいる」などと公言する者がいる。まぁ、ギターに名前をつけるといっても、色々ある。例えば、姿形を形容したものであったり、オリジナルギターの便宜上の呼び名だったりだ。まぁ、そういったものは理解できる。

 

 

 しかし、一方で全然理解できないのは、吊るしのギターに、なんのゆかりもなさそうな女の名前をつけているような場合である。読者によっては「ただのギターが大好きな人」に見えるかもしれないが、こいつらの実態は相当気色の悪いナルシストである。今回は、そんな残念な者たちについて解説しよう。

 


1.モノに名前がある理由


 大前提の話を簡単にしよう。まず、モノに名前がついている理由である。「名前」とは人類が「言語でのコミュニケーション」を行う中で、モノを識別するための言葉である。名前をつけることで、「他者と認識を共有する」ことができ、よりスムースな会話が成立するのである。そんなことから、我々の身の回りにある認知できるものにおいては、全てに名前がついているのだ。ここまでは一般的な話である。

 


2.ギターに愛称を付ける意味


 そして、あの6本の弦が張られた楽器もその例に漏れず、「ギター」という名前がついている。さらには、そのボディシェイプによって名称が細分化され、最終的には型番とシリアルナンバーで個体が識別できてしまう。つまり、ギターにおいては、「言語でのコミュニケーション」を行う上では既に十分に識別できる名前がついており、今更愛称をわざわざつけるなぞ、全く意味のない行為なのである。

 

 

 また、愛称とは相手に親しみを込めるという意思表示であり社会的な意味を持つ。しかし、ギターは人間やペットのように生きている訳ではないため、名前を呼んでも応えてはくれない。また、他人とコミュニケーションをとるうえで「オリジナルの愛称」は「他者と認識を共有する」ことに対し、障壁にしかならない。例えば、所有するレスポールに「キャサリン」なんて愛称を付けたとして、他人との会話の中で「この前、キャサリンがさぁ」なんて言っても、通じるはずがないのである。このことからもわかるように、ギターに愛称をつけたとて、実際にその名を呼ぶような場面というのは、通常起こりえない。あるとすれば、独り言をブツブツ言うようなヤバい人間くらいである。

 


3.ギターに愛称を付ける心理


 では、なんのために、ギターに普段呼びもしない愛称なぞつけるのか?その動機である。これは「ギターが好きだから」といった理由からくるものではない。彼らは「ギターに名前を付けてしまうほど、ギターが大好きな自分」を周囲に見せつけることで、自分自身に酔っているのである。いわゆる、自己陶酔・ナルシシズムの類。そう、彼らはギターが大好きなのではなく、自分が大好きで仕方がないのである。

 

 

 心理学的に、こういった自己陶酔に陥る人間は、妄想癖、虚言癖、といったヤバい傾向がある。前述では「ギターに名前をつけたとて、実際にその名を呼ぶことはない」と説明した。しかし、彼らは「自分はギターに名前を付けて呼んでいる」なと公言しているではないか。この時点で妄想癖か、虚言癖のいずれかが確定である。このような輩は、求められてもいないのに嬉々として自分語りをするような痛い人間なので、注意するまでもなく、かなり早い段階でその気持ち悪さを察知できるだろう。こういった人間にはいわずもがな、関わらないほうがベターである。

 

 

 また、著名なギタリストもギターに名前を付けている場合があるが、あれは完全なるファンサービス、ビジネスの一環である。ギターをアイコン化、マスコット化、共通言語化することでファンの帰属意識を強める意味を持つ。そう、有名人と一般人とではギターに愛称をつける行為の意味合いが全然変わってくるのだ。これを同列で語ろうとするなど、自意識過剰、勘違いも甚だしいのである。

 


4.ギターに愛称をつけるデメリット


 ギターに愛称をつけている人間は気持ち悪いナルシストであると説明したが、愛称をつけること自体にもデメリットが存在する。仮にギター愛称をつけて愛着が湧いたとしよう。そのギターを処分できるのか?ということを今一度考えてほしい。ギタリストは他のバンドパートと比較して、頻繁にギターを買い替える傾向がある。特にギターを始めてから間もない人間にとっては多感な時期である。このギターも欲しい、あのギターも弾いてみたいというのは速い段階で必ず来るものである。

 

 

 ギターを買い続ければ、生活スペースを圧迫したり、人によっては金銭的な問題も出てくる。そうするとギターを処分する必要性も出てくるのである。ここで問題が出てくる。ギターに無暗に愛称をつけて愛着を持たせるようなことをすれば、処分しにくくなるのは想像に難くない。「あぁ、キャサリンを処分するなんて無理だよ。」である。無暗に名前つけて、手放しにくくするなんて墓穴もいいところ。アホの所業である。

 


5.ギター講師系Youtuber(詐欺師)による洗脳


 以前、ギター講師系Youtuber(詐欺師)が「ギターに愛称をつけると、愛着がわいて上達するメリットがある」等と、アホにしか理解できないロジックを宣い、囲いから称賛されていたのを目撃したことがあるが、これは全くのデタラメである。愛着は技術的な解決にはならない。単に弾く時間を増やして上手くなるなら、誰も苦労しない。

 

 

 このような甘い言葉は、ギターを良くわかってない初心者や、思い込みの激しいナルシストの洗脳の一環である。一見、筋が通ってそうで破綻しているデタラメの論理を情報弱者に納得させることで、それ以降のデタラメも納得させやすくなるからである。特に思い込みの激しいナルシスト諸君は注意だ。こうした一般的に理解されにくい部分を、さも理解されたように振舞われれば、ギター講師系Youutber(詐欺師)に好意を持つはずである。そうなれば詐欺師に利用されるのも時間の問題だ。

 


6.まとめ


 今回のポイントは、ギターに名前を付ける行為は、気持ち悪いナルシスト的な行為であり、ギターの整理にストレスがかかるデメリットがあるということ、ギター講師系Youtuber(詐欺師)の洗脳の道具として使われているということだ。ギターは楽器であり、道具だ。そして、名前などつけなくとも使っているうちに自然と愛着が湧くものである。それなのに、いちいち愛称つけるなんて、なんとも自信の無い行為じゃないか。そんなことするなら、他に本当に好きになれるものを探したほうが建設的である。

 

 

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