最近ギターを始めたばかりのギター初心者や、課題曲に躓いている中級者の中には、技術向上のためにギターの教則本を買ったり、ギタースクールに通ったりする人もいるだろう。インターネット環境が普及していない昔と違い、現代では「ギター講師系YouTuberの動画を参考にしている」なんて人も多いはずだ。しかし、一口にギター講師といってもそのスキルはバラバラである。ギター講師は免許もマニュアルも必要なく、誰でも講師の肩書を名乗ることができため、正味な話、講師業の中でもかなりインチキ臭い部類である。
 
 
 また、講師と生徒の関係は金銭と情報の交換契約が結ばれており、本来は立場が対等であるはずだが、情報を握っているギター講師が金銭を支払う生徒よりも立場的に優位であることが多い。よりひどい例を挙げれば、カルトの教祖と信者のような関係になっているものもある。生徒(信者)は「下手」というコンプレックスをだしに、講師(教祖)に搾取されているのだ。
 
 
 読者には今一度思い出してみて欲しい。ギターに限らず、電車の中の広告にはいつも脱毛、増毛、エステ、ダイエット、整形、塾の広告で溢れている。これらは全てコンプレックス商材。そう、コンプレックスを利用したビジネスは儲かるのだ。今回はそんな他人のコンプレックスの上に、あぐらをかいている信用してはいけないギター講師の特徴について解説しよう。
 

1.教則が抽象的


 残念ながら、殆どの講師がこれに当てはまる。講師は生徒に「なぜ弾けるようになるのか?」、「なぜ弾けないのか?」を理解できるよう、具体的に「根拠」を説明をしなくてはならない。しかし、生徒に教えられるのは「こうやって弾かないと駄目」という、非常に曖昧で抽象的な「結果」のみである。例えば、こんな簡単な説明だけで済まそうとする講師もいるが、これは教則にすらなっていない。
 
・ピックを持つ力は強すぎず、弱すぎず
・とにかく脱力しろ
・手首はスナップをきかせろ
・左右の手は合わせろ
 
 まるで具体性が欠けすぎである。人間は感じ方が人それぞれという事を完全に忘れている。生徒は「弾ける原理」を知らない状態で練習をしているから弾けないのであって、結果のみ伝えたところでミスリードになってしまうのは目に見えている。こんなのは教則本にも書いてあることを読み上げているにすぎない。
 
 
 そのため、既にスクールに通ってる人はギター講師に上記の項目を理詰めして聞いてみて欲しい。納得できる根拠や解説を得られればいいが、「俺が上手く弾けているから」、「みんなやってるから」、「そう教わった」なんて回答しているのであれば、勉強不足もいいところだろう。人に教える立場であるにも関わらず、自分自身がどう弾いているか全然理解してないのである。これ以上に信用できなことはない。
 

2.炎上商法


 YoutubeやTwitterで広報活動するギター講師、とりわけインフルエンサーの中には頻繁にトラブル、口論、炎上に見舞われる者がいる。しかし、このトラブルの殆どは偶発的なものではない、意図的に起こされているものだ。何故こんなことをするかというと、「目立つため」に他ならない。悪事千里を走るとはよく言ったもので、悪行ほど注目を集めることができる。俗に言う炎上商法によって金を生むのである。
 
 
 こうした行為は、信用がなくなるからお金に繋がらないんじゃないか?と思う人もいるだろうが、それは違う。まず、存在を知ってもらう絶対数が多ければ、常識的な「信用」なぞ、とるに足らない。悪目立ちすることによって過激思想のファン、生徒、囲い、取り巻き、信者(呼び方はなんでもいい)を一挙に獲得できる。また、そういう狂信的な輩の財布の紐というのはめちゃくちゃ軽いのである。
 
 
 そして、炎上させる話題の多くは、「安い・高いギター」、「演奏の上手・下手」、「オリジナル・模倣」。このような擦られすぎて、もはやベテランの講師は飽き飽きしているはずの話だ。これを年中うんざりするほど繰り返している。これらの話題に共通するのは「コンプレックス」そのもの。もう他人のコンプレックスを徹底的に煽りまくり、周りを巻き込みまくって金を生むのである。
 
 
 また、炎上させるのは自分だけじゃない。他人も頻繁に炎上させる。普通、生活する中でちょっとした嫌なことを耳にしたりしても、スルーするだろう。しかし、彼らは重箱の隅をつつくように他人に難癖をつけて、それらを生徒(信者)に攻撃するようけしかけて、炎上状態を作り上げるチンピラである。これはTwitterでフォローしていたギター講師だけで3人くらい知ってる。
 
 
 こういった行為は法律で裁けないというだけであって、犯罪である。あなたはスクール・講師選びに真剣に悩んでいて、対価としてお金や時間を使うことを考えている。ギター講師が界隈でいくら有名であろうと、自身の利益のために迷惑行為をもいとわない犯罪者に金を払うのは、犯罪に加担してるのと思ったほうが良いだろう。
 

3.初心者向け講師


 ネット上には「初心者にしか教えない」というギター講師がいる。これはもう、ギター講師としての知識・技量が不足しているとしか言いようがない。というのも、初級者も中級者も基本の弾き方が変わるわけではなく、弾けない事に対して教えることは同じだからである。つまり、本当に初心者に正しく教えることができるのであれば、中級者にも教えることができる。そのため、「初心者向け」等と限定した、不可解な謳い文句を宣っているギター講師は、十中八九ド下手糞の詐欺師なので注意である。
 
 
 また、どこにでも売られている教則本の内容を写したものを、門外不出の価値のある初心者向け教則テキストとして、法外な値段で買わせる詐欺師も存在するため、こちらも併せて注意が必要だ。

4.とにかく不安を煽る


 まず、人間の行動心理にネガティブバイアスというものがある。ボジティブな情報より、ネガティブな情報に飛びつきやすくなるという心理だ。ギターの初心者は手く弾けないことに不安な人も多いだろう。そんな人の弱みに付け込み、不安を煽るのは一番効果的である。例えば、以下のような動画タイトルをよく目にすると思う。
 
・○○は絶対してはいけない
・下手な人の○○な特徴
・○○は買うな・使うな
 
 
 お気づきだろうか?この記事のタイトルに完全一致である。本来はこのようなタイトルには警戒しなくてはならない。この記事にアクセスしたあなた。どんな面持ちでクリックしたのだろう?恐らく答えを求めさまよい辿りついた人もいるだろう。
 
 
 教則のアプローチとして、「なぜ弾けるのか?」、「なぜ弾けないのか?」の2種類があると説明した。上記は「なぜ弾けないのか?」に近い。が、このアプローチはあまりにも生徒にとって支配的だ。これは生徒の「間違っていたらどうしよう」という強迫観念を利用したコンプレックス商法である。人のコンプレックスを刺激することで気をひきつけ、あわよくば顧客を上手い具合に行動心理を支配しようとする卑怯な行為である。
 

5.まとめ


 今回、かなり辛辣な話をしたので、疑心暗鬼になり誰も選べなくなりそうだが、恐れなくていい。逆に言えば、誰にでもそのリスクはあるので、選ぶ時点では細かく考えるだけ無駄である。むしろ、注意しなくてはならないのは自分自身だ。教則、研究、勉強、練習というのは、常に疑問を持って取り組むことで成長するからだ。
 
 
 誰かに決定権を委ねた時、あなたの成長はその時点で止まり、犯罪者の餌食になる。鬼滅の刃のセリフで「生殺与奪の権を他人に握らせるな」というものがあるが、全くその通りである。自分自身に湧いた疑問を大切にすること、講師の教えには常に疑いをもつこと、それこそが習い事で一番重要なことである。
 
 
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